秋田港クルーズ列車「廃止」秋田県方針、クルーズ船の寄港数最多見込みでも維持困難



貨物線を活用して秋田港と秋田駅を結ぶ「秋田港クルーズ列車」が、来年度2025年度末までに廃止される見通しになった。秋田県が2月12日、運行終了の方針を明らかにした。

秋田港駅で発車を待つ「秋田港クルーズ列車」(2017年)。【撮影:草町義和】

秋田港クルーズ列車は2017年に運行を開始したJR東日本の臨時列車。秋田港に寄港するクルーズ船の客のアクセス交通の確保を図るため、クルーズ船の寄港日やイベント開催日を中心に運行している。

運行区間は秋田港~秋田で、このうち秋田港~土崎はJR貨物が保有する奥羽本線貨物支線(秋田港線)の線路を借りて走行。土崎~秋田はJR東日本の奥羽本線を走る。秋田港線は同線に接続している秋田臨海鉄道の営業終了にあわせて2021年3月に定期貨物列車の運行を終了しており、これ以降は秋田港クルーズ列車のみ運行されている。

秋田~秋田港間のルート。土崎~秋田港(赤)はJR貨物の秋田港線を走る。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

秋田県によると、JR貨物が秋田港線の維持・管理を2025年度末に終了することから、これ以降の対応を関係者間で協議。関係者からは「運行に必要な車両や人員確保が困難であることや、維持管理費用等が多額となることを踏まえれば、運行終了はやむを得ない」などの意見が出された。こうしたことからクルーズ列車の運行を終了したいと考えているという。

2025年のクルーズ船の秋田港寄港回数は過去最多になる見込みで、秋田県は代替手段としてシャトルバスを運行する考え。秋田港と土崎駅を結ぶシャトルバスを試験的に運行するための費用を来年度2025年度予算案に盛り込んだ。路線バスを貸切バスとして活用する可能性もバス事業者と協議する方針だ。

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