熊本県と鹿児島県の鉄道2社が、列車の減便を柱とするダイヤ改正を2月に実施する。いずれも運転士不足が理由で、当面のあいだ続くとみられる。

九州新幹線の開業に伴い熊本県と鹿児島県の並行在来線のを引き継いだ第三セクターの肥薩おれんじ鉄道は、「運転士の確保が困難な状況」として2月1日にダイヤ改正を実施。平日は全53本のうち下り3本・上り2本を運休し、土曜・休日も全50本のうち上下各1本を運休する。
肥薩おれんじ鉄道によると、運転士の退職が重なったことから、現在の運行ダイヤの維持が困難と判断。乗降調査などの結果に基づき、利用者への影響が少ない列車を運休することにしたという。
熊本県内の熊本市と合志市を結ぶ鉄道路線を運営する熊本電鉄も、2月3日にダイヤ改正を実施する計画。「運転士の退職に伴い、現行ダイヤの維持が困難となった」として減便する。
現在の運行本数は平日(月~木曜)が159本だが、改正後は38本減の121本に。金曜日(現在161本)も月~木曜と同じ121本になる。土曜は現在の148本から97本減の51本で大幅な減少。休日も現在の120本から29本減らして91本になる。この結果、運行間隔はラッシュ時の場合で現在の15分から5分拡大して20分になる。始発の繰り下げと終発の繰り上げも実施。月~木曜の場合、御代志発の始発は10分繰り下げの6時36分、藤崎宮前発の終発は25分繰り上げの22時35分になる。
その一方、コロナ禍の収束に伴う利用者数の回復で列車の遅れが慢性化していることから、藤崎宮前~御代志の所要時間を現在の26分から5分延ばして31分に変更。ダイヤに余裕を持たせる。

熊本電鉄によると、同社の鉄道運転士は3年ほど前から定数割れに。採用活動を行って補充したものの、それを上回る離職者が発生し、慢性的な運転士不足の状になっていた。こうしたなかで昨年2024年12月に運転士から退職の申し出があり、現行ダイヤの維持が困難に。減便の影響をできるだけ軽減するため、通学客が減少する2月にダイヤ改正を実施することにしたという。
熊本電鉄はウェブ会議システム「ZOOM」を使った会社説明会を毎週水曜日に実施している。申し込みは熊本電鉄のウェブサイトで受け付けている。同社は「新たな運転士や運転士見習い者の募集を行っているものの、運転士の応募がなく、更に運転士見習い者が免許を取得するには1年以上の日数を要することから、当面の間は今回の新ダイヤの継続が必要と考えております」としている。
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