IRいしかわ鉄道は10月2日、国土交通省の北陸信越運輸局長に旅客運賃の上限設定を申請したと発表した。北陸新幹線の敦賀延伸開業に伴う並行在来線の経営引き継ぎに対応するもの。多くの区間で値上げされるが、金沢駅をまたぐ区間の一部は実質値下げされる。
IRいしかわ鉄道は2015年、北陸新幹線の長野~金沢が開業した際にJR西日本から北陸本線・倶利伽羅~金沢17.8kmの経営を引き継いでおり、現在は18kmまでの運賃額を設定している。
来年2024年3月16日には北陸新幹線の金沢~敦賀が開業するのに伴い、並行在来線のうち石川県内の北陸本線・金沢~大聖寺46.6kmをIRいしかわ鉄道が引き継ぐ。同社の営業距離が64.2kmに拡大するため、今回の申請では新たに19~65kmの運賃を申請した。18kmまでの運賃は従来のまま維持する。
普通旅客運賃の上限運賃は、JR西日本の現行運賃の1.19倍に設定。実際に適用する運賃(実施運賃)は運賃の激変を緩和するため1.14倍に抑える。おもな区間の普通旅客運賃は実施運賃の場合、金沢~松任が現行200円のところ30円値上げの230円。金沢~小松は70円値上げの580円になる。
一方、東金沢~西金沢は現行270円のところ40円値下げの230円に。森本~松任では現行340円から70円値下げの270円に変わる。これらは金沢駅をまたぐ区間で、現在はIRいしかわ鉄道の運賃とJR西日本の運賃を合算。金沢~大聖寺がIRいしかわ鉄道に引き継がれると同社の運賃が通算されるため、実質値下げされる。
通勤定期旅客運賃は上限運賃がJR西日本の現行運賃の1.19倍で、実施運賃は1.14倍。通学定期旅客運賃は上限運賃が1.05倍で、実施運賃は現行と同額だ。金沢駅をまたぐ一部の区間は普通旅客運賃と同様に値下げされる。通勤1カ月の場合、金沢~松任は830円値上げの6770円。森本~松任は1770円値下げの8280円になる。
IRいしかわ鉄道は上限運賃の認可後、北陸信越運輸局長に実施運賃を届け出る予定。また、IRいしかわ鉄道線と他社鉄道線をまたいで利用する場合の乗継割引は、これまでと同様に設定される予定だ。
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