日本民営鉄道協会(民鉄協)などは7月9日、鉄道係員に対する暴力行為について2023年度の発生状況を発表した。コロナ禍が収束に向かうなか暴力行為の発生件数は増えていたが、前年度2022年度に比べ減少した。
集計対象はJR旅客6社や各地の公営地下鉄など37社局の鉄道。2023年度の暴力発生件数は517件だった。
ここ10年の推移を見ると、2014年度は800件。これ以降は徐々に減少して2019年度は581件だった。コロナ禍の本格化で外出機会が減った2020年度は大幅に減少して377件に。2021年度と2022年度は外出機会の増加とともに発生件数も増加したが、コロナが5類感染症に移行した2023年度は2022年度に比べ26件減った。
月別の発生件数は5類感染症移行の翌月(6月)から9月にかけ2022年度を大幅に上回った。曜日別では金・土・日曜に多く発生し、時間帯別では夜・深夜の発生件数が多くなっている。加害者の年齢に偏りはなく、幅広い年代に分布している。民鉄協などによると、加害者の約54%は酒気帯びで、暴力行為と飲酒に相関関係があると考えられるという。
民鉄協などはコロナが5類に移行した2023年度で発生件数が減少したことについて、啓発ポスターの掲出や警察官の巡回、警備員の配置、駅員への研修、防犯カメラの駅構内・車内への設置などが抑止に寄与していると推測。報道機関などを通じて暴力行為の現状が客に認知されたことも防止につながっていると思われるとしている。
《関連記事》
・鉄道係員への暴力行為、2020年度は「大幅減少」
・鉄道・バス忘れ物が9割まで「回復」相鉄2社、10年前の3.6倍に増えた忘れ物は?