JR各社は来年2025年3月15日のダイヤ改正にあわせ、運転士のみ乗務する「ワンマン運転」の導入線区や列車を引き続き拡大する。新たにワンマン運転を導入するおもな線区や列車は次の通り。
JR東日本
田沢湖線:赤渕~田沢湖
常磐線各駅停車:綾瀬~取手
南武線:川崎~立川

JR西日本
特急「スーパーおき」「スーパーまつかぜ」:鳥取~米子 ※停車全駅で全ドア開閉 ※乗車方法の変更なし
瀬戸大橋線:岡山~児島

JR四国
特急「宇和島」:八幡浜~宇和島 ※停車全駅で全ドア開閉 ※乗車方法の変更なし ※旅客周知・乗務員習熟のため2025年1月20日から一部の列車で実施

JR東日本はこのほか、ワンマン運転を導入済みの一部の線区で利用方法を変更する。対象線区は新潟支社の羽越本線・新津~新発田、白新線・新潟~新発田、越後線・吉田~新潟と、長野支社の篠ノ井線・松本~篠ノ井。現在は無人駅で降車する場合、原則として編成先頭の運転台の近くにあるドアのみ降車できるが、ダイヤ改正後は無人駅を含む各駅で、すべてのドアから乗降できるようにする。
戦後の公共交通のワンマン化は1960年代以降、路線バスで本格化した。当時のバス車掌は中卒の女性が多かったが、高度経済成長に伴う女性の職種拡大や高学歴化で車掌不足が深刻化。さらに当時は女性の深夜乗務が法的に禁止されていたことから深夜輸送の強化が難しく、ワンマン化が急速に進んだ。
鉄道では1971年、関東鉄道竜ヶ崎線を皮切りに導入が本格化。都市鉄道でも自動列車制御装置(ATC)や自動列車運転装置(ATO)、ホームドアの導入など安全対策の強化に伴いワンマン化を図るケースが増えている。
国鉄は末期の1986年に貨物列車の車掌乗務を廃止したのを除き本格的には導入しなかったが、JR化後の1988年から導入している。利用者が少ない赤字線区のコスト削減がおもな目的だったが、近年は少子高齢化に加え国鉄末期に職員採用を中断したことによる人手不足対策としての性格が強くなっており、今回の南武線などのように都市部の線区でもワンマン化が拡大している。
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