JR東日本の千葉支社は11月27日、久留里線の一部区間について「新たな交通体系」を構築する必要があると発表した。鉄道を廃止して代替交通を導入する考えを正式に明らかにした。
廃止するのは久留里線の木更津~上総亀山32.2kmのうち、終端方の久留里~上総亀山9.6km。この区間の輸送密度はJR東日本が発足した1987年度の時点で823人だったが、2023年度は9割以上減って64人になっている。2023年度の赤字額は2億3500万円。100円の収入を得るのにかかる営業費用(営業係数)は1万3580円で、JR東日本が運営する輸送密度2000人未満の線区では最大だ。
千葉支社は昨年2023年3月、久留里~上総亀山について「総合的な交通体系に関する議論」を行いたいと沿線自治体に申し入れた。これを受けて千葉県や君津市、JR東日本などで構成される沿線地域交通検討会議が同年5月に発足。鉄道の存廃も含めた議論が行われた。
今年2024年10月の最終会合では「上総地区で提供されている交通サービスは、当該地区の移動需要に適していない」「当該地区での移動需要を考慮すると、自動車中心の交通体系への移行により、より利便性の高い地域公共交通が実現する」という検討結果が示された。
千葉支社は、この検討結果を受けて同支社としての検討を進め、その結果、久留里~上総亀山は「バス等を中心とした新たな交通体系へのモードチェンジを図ることが必要」と判断した。
廃止予定時期や廃止後の代替交通の詳細について、千葉支社は君津市と今後協議するとして明らかにしていない。同支社は「デジタル技術等を活用し、二次交通を含めた経路案内や観光情報の提供などを通じ、さらなる利便性の向上を目指していきます」としている。
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