横浜市営地下鉄ブルーラインの延伸計画「新たな課題」で開業遅れ・事業費増大か



横浜市営地下鉄ブルーラインの小田急線・新百合ヶ丘駅への延伸の事業化が決まってから5年が過ぎた。事業着手に向けた各種手続きが遅れており、開業時期の延期や事業費の増大は避けられない情勢だ。

横浜市営地下鉄ブルーラインの列車。【撮影:草町義和】

横浜市は2019年1月、ブルーライン延伸の事業化を決定。2020年1月には概略ルートと駅位置を選定した。その後、横浜市は環境影響評価の手続きに着手。関係機関との協議・調整、行政手続きや調査・設計を進めている。

横浜市は現在、2030年の開業を目標とし、事業費は概算で約1720億円としている。一方で同市は「昨今の建設物価の高騰やコロナの影響による鉄道需要の減少など、顕在化した新たな課題への対応に時間を要している状況」としており、開業時期の延期や事業費増加の可能性を示唆している。

横浜市は2024年度予算案に延伸事業の推進費として2億1607万円を計上。引き続き調査・設計の深度化や関係機関との協議・調整、行政手続きを進め、早期の事業着手を目指す考えだ。

ブルーラインの終点・あざみ野駅の線路終端部。ここから新百合ケ丘駅まで延伸する。【撮影:草町義和】

ブルーラインの延伸区間は、あざみ野~新百合ヶ丘の約6.5km。横浜市内の嶮山付近と横浜・川崎市境のすすき野付近、川崎市内のヨネッティー王禅寺付近、小田急線の新百合ケ丘駅南口付近に駅を設ける。川崎市内への乗り入れ区間も含め横浜市交通局が第1種鉄道事業者として事業主体になり、国の地下高速鉄道整備事業費補助を受け整備することが想定されている。

ブルーライン延伸区間の概略ルートと駅の位置。【画像:横浜市・川崎市】

完成した場合、新百合ヶ丘~あざみ野の所要時間は現在の約30分から20分ほど短い約10分に。新百合ヶ丘~新横浜もいまより8分ほど短い約27分になる。横浜市は延伸により横浜と川崎市北部、多摩地域を結ぶ新たな都市軸が形成され、拠点間のアクセスや新幹線へのアクセスの強化につながるとしている。

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