北総鉄道は6月23日、運賃値下げの可能性について検討すると発表した。累積赤字の解消のめどが立ったことから、検討を進める。
北総鉄道が同日発表した2020年度決算によると、同年度の輸送人員は新型コロナウイルスの影響を受け、前年度2019年度に比べ2割以上減少して3003万人に。旅客運輸収入も25.3%減の94億7100万円となった。一方で営業利益は2019年度に比べ半減したが22億1000万円の黒字を計上し、当期純利益も12億6100万円に。累積赤字は31億5200万円、有利子負債は644億8300万円に縮小された。早ければ来年度2022年度中に累積赤字を解消できる見込みだ。
北総鉄道は東京都心と千葉ニュータウンを結ぶ、京成高砂~印旛日本医大間32.3kmの北総線を運営。2010年以降は京成電鉄の成田空港アクセス鉄道(成田スカイアクセス線)の列車も走っている。同区間の運賃は840円(ICカード837円)で、京成電鉄の本線・京成上野~京成大久保間32.1kmの500円(同492円)に比べ6割以上高い。
現在の北総線は1979年から2000年にかけ開業した。物価高騰で建設費が膨れあがったこともあって高額な運賃が設定されたが、千葉ニュータウンの入居人口が当初の想定を大きく下回ったことから運賃収入が少なく、北総鉄道は1999年度まで赤字経営に。1999年度末時点では約200億円の債務超過だった。しかし2000年度以降は黒字化され、2012年度に債務超過を解消していた。
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