リニア中央新幹線・北品川の調査掘進「また中断」掘削機が一部変形、来春再開へ



JR東海は10月6日、リニア中央新幹線・第一首都圏トンネルの北品川非常口(東京都品川区北品川4丁目)の名古屋寄りで実施している調査掘進を一時中断すると発表した。掘削機(シールドマシン)の構造物が一部変形したため。調査掘進の一時中断はこれで2度目になる。

第一首都圏トンネルの北品川工区に搬入されたシールドマシン。【画像:JR東海】

JR東海によると5月、北品川非常口から名古屋寄り約50mの地点から調査掘進を再開。カーブした区間を約60m掘り進み、6月に掘進長が約110mになったころからトンネル壁面ブロック(セグメント)を組み立てにくい傾向が現れた。7月に掘進長が約124m(目黒川のほぼ真下)になったところでシールドマシンを停止し、セグメントとシールドマシンの点検を開始した。

その結果、シールドマシンの筒(スキンプレート)の一部が最大で約7cm変形していることが9月に判明。掘削した土がスキンプレート背面の狭い空間に詰まって局所的に大きな圧力が働いたためとみられ、この影響でセグメントが組み立てにくくなっていた。セグメントの組立に使う機器やシールドジャッキなどシールドマシンの設備や、構築されたトンネルの構造は問題ないという。

北品川工区の位置。【画像:JR東海】
北品川工区の断面図。目黒川のほぼ真下で停止している。【画像:JR東海】

JR東海は今後、半年ほどかけてスキンプレートの形状復元作業を実施し、来年2024年春から掘進を再開する予定。カーブする区間ではスキンプレートとセグメントの位置関係や形状を計測、確認しながら掘進するなどの再発防止策を講じるとしている。

調査掘進は2021年10月に開始。当初の計画では北品川非常口から広町1丁目まで約300mを2022年3月までに掘る計画だった。しかし、シールドマシンの添加剤注入設備が破損して掘りにくくなり、2022年3月にシールドマシンを停止。北品川非常口から50mほどのところで中断した。今年2023年2月までに設備の修繕とカッターヘッドに付着した土の除去を完了。5月から掘進を再開していた。

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