山陰本線「復旧に向け具体的検討」着工後1年半で再開か 同時に「持続可能性」協議も



JR西日本は1月29日、水害で山口県内の一部区間が運休中の山陰本線について、被災した施設の調査結果と今後の見通しを発表した。着工後1年半の工期を見込む。

山陰本線の列車。【画像:K.M=KARIBITO/写真AC】

山陰本線は昨年2023年6月の大雨で粟野川橋梁(長門粟野~阿川)の橋脚が傾斜するなど大きな被害が発生。現在も長門市~小串50.1kmが運休中でバスによる代行輸送が行われている。

JR西日本によると、橋脚が傾斜したのは大雨による激しい水流で基礎部の侵食を防止する矢板が損傷。支持地盤の流失から橋脚が沈下、傾斜したと推定される。ほかにも橋脚や橋桁の損傷や部分的なゆがみが認められるという。

JR西日本は傾斜した橋脚を修繕して再使用することはできず、改築が必要と判断。河川管理者である山口県と仮復旧時の河川内工事について協議してきた。その結果、工事の通年施行を前提に工期や工事費の縮小が見込めることになり、今後復旧に向けた具体的な検討を開始するとしている。

JR西日本は粟野川橋梁の復旧に少なくとも着工後1年半程度を見込む。今年2024年中に着工できれば、2025~2026年ごろには運転が再開されるとみられる。同社は橋梁以外の区間の部分的な運転再開に向けた検討もあわせて進めるとしている。

2023年の水害で運休中の区間(赤)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

一方でJR西日本は「復旧に向けた検討と合わせて、鉄道としての持続可能性を確保するため、沿線の自治体の方々と相談をさせていただきたいと考えております」と発表。鉄道の活性化に向けた議論をしたい考えを示唆した。山陰本線の輸送密度は長門市~小串・長門市~仙崎の2区間あわせて2022年度が273人。コロナ禍が本格化する前の2019年度でも351人で非常に少ない。

2023年6月の水害では同じ山口県内の美祢線も大きな被害が発生し、厚狭~長門市46.0kmの全区間が運休している。

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