広島市はアストラムラインの延伸区間になる「広島新交通西風新都線」について、同線に関係する都市計画の原案を10月までに取りまとめた。引き続き都市計画や環境影響評価などの手続きを進め、2027年度の事業化を目指す。
アストラムラインは広島市中心部の本通駅からJR可部線の大町駅を経て広域公園前駅を結ぶ18.4kmの路線。ゴムタイヤ方式の新交通システム(AGT)を採用している。延伸区間は広域公園前~西広島の約7.1kmで、完成すると既開業区間も含め広島市北西部の環状ネットワークが構築される。
延伸区間の都市計画上の範囲は全長約6940m。既開業区間は複線だが、延伸区間は単線で整備する。このうち約4720mがかさ上げ式(高架橋など)、約1720mが地下式(トンネル)、約500mが地表式になる。標準的な幅はかさ上げ式が4m、地下式が6m、地表式が8m。勾配は最急59パーミルだ。
新設駅は五月が丘1・五月が丘2・石内東・己斐上・己斐中・西広島の6駅(いずれも仮称)。すべて島式ホーム1面2線の高架駅で、列車の行き違いに対応する。標準的な寸法は長さが約52m、幅が約13m(西広島駅は約23m)で、高さは駅によって約12~20mと異なる。
石内東駅は駅前に交通広場を整備する。終点の西広島駅はJR山陽本線の西広島駅の上を通って同駅南側の駅前広場上に高架駅を設置。JR西広島駅~アストラムライン西広島駅~広電西広島駅をつなぐ歩行者デッキも整備する。このほか、広域公園前駅の先、広島修道大学の南側に車両基地を設ける。
列車の所要時間は五月が丘1~西広島で13分。路線バス(五月が丘三丁目~西広島駅)に比べ20分以上短縮される。延伸区間の利用者数は1日9100人を見込む。事業費は概算で約760億円。
現在は環境影響評価・都市計画・軌道法の各手続きと詳細設計を進めている段階。10月下旬から11月上旬にかけ、都市計画原案の地元説開会が行われた。広島市が現在想定している今後のスケジュールによると、2025年度中には都市計画を決定。それ以外の手続きと詳細設計も2026年度末までに完了して2027年度から事業化する。まず用地取得を開始し、2029年度ごろから工事に着手。2036年度ごろの開業を目指すという。
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