山口県下関市「新駅」王司地区で実現求める動き 市内8カ所で構想も実現は1カ所のみ



山口県下関市で構想されている新駅のうち、王司地区の新駅の整備を求める動きが活発化している。昨年2023年に期成同盟会が発足。中国自動車道に自動料金収受システム(ETC)専用のスマートインターチェンジ(スマートIC)を設ける構想も含め、早期実現を目指している。

山陽本線の下関駅。【撮影:草町義和】

この構想はJR山陽本線・小月~長府のほぼ中央の王司地区に新駅を設ける構想。同地区は子育て世代の人口が増加しているほか、海側(東側)には乃木浜総合公園もあり、同公園への公共交通でのアクセス改善も視野に入る。また、王司地区の内陸側(西側)には中国自動車道の王司パーキングエリア(王司PA)があり、ここにスマートICを設ける構想もある。

昨年2023年10月、「中国道王司スマートIC・JR王司新駅設置促進期成同盟会」が発足。今年2024年2月から始めた署名活動では6月時点で約9000人分の署名が集まったという。10月19日には決起集会を開き、早期実現に向けて機運を高めようとしている。

一方、下関市は2022年12月の市議会で「王司地区に新駅を整備する場合は地元が建設費を負担する請願駅になる」としたうえで、「市の財政状況を考慮すると駅の整備は長期的な課題」とし、早期実現は困難との見方を示唆した。

2024年9月の市議会建設消防委員会では期成同盟会からの陳情を協議。下関市は「JR西日本との合意形成を図るうえで諸状況に照らした必要性や合理性の検証、鉄道事業者の将来事業や構造基準などに関する協議が整うことが条件。駅施設や駅前広場、アクセス道路などの建設経費、将来に渡る駅の維持管理費や運営経費など、地元自治体の負担が生じることについても考慮する必要がある」と述べた。

合併前の下関市で浮上していた新駅構想(赤)。山陰本線の梶栗郷台地駅のみ実現している。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

下関市内の鉄道路線は隣接駅間の距離が長い区間が多い。2005年の合併前の下関市では、山陽本線(JR西日本)の王喜・王司・長府豊浦・勝山・山の田・幡生の6地区と山陽本線(JR九州)の彦島地区、山陰本線の梶栗地区の合計8カ所で自治会や商工会から新駅設置の要望が出ていた。このうち梶栗地区の1カ所のみ実現し、2008年に梶栗郷台地駅として開業している。

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