豊肥本線・三里木~原水「新駅」菊陽町がJRに要望書 台湾半導体メーカー進出に対応



熊本県菊陽町の後藤三雄町長は2月24日、豊肥本線・三里木~原水間に新駅を設置するようJR九州に要望書を提出した。この日、後藤町長はJR九州本社(福岡市)を訪問。取締役常務執行役員で鉄道事業本部長の福永嘉之氏に要望書を手渡した。

新駅予定地やTSMC新工場予定地、熊本空港アクセス鉄道の検討ルートの位置。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

新駅は三里木駅から原水寄り約1.3kmの地点。近くには菊陽町図書館や菊陽杉並木公園がある。駅の整備を要望する自治体などが費用を負担する「請願駅方式」で整備することが考えられている。

菊陽町は1999年から新駅設置を要望しているが、これまでは利用者数が見込めないことから進展がなかった。しかし菊陽町は熊本都市圏の郊外住宅街として発展し、人口はここ20年ほどで1.5倍に。昨年2021年11月には半導体メーカー世界大手・台湾積体電路製造(TSMC)の新工場が菊陽町内に建設されることが決まり、今後さらに人口の増加が見込まれることから、菊陽町は新駅設置で公共交通の利便性を高めて道路渋滞の緩和を図りたい考えだ。

JR九州の青柳俊彦社長は2月22日の記者会見で、請願駅方式での整備を条件にしつつ「(想定地周辺の)住宅のはりつき具合から見ると、新駅の候補地の一つではあると思います」と話し、従来より前向きな考えを示した。

TSMC工場の建設が決まったことから、熊本空港アクセス鉄道のルートも再検討される。熊本県は豊肥本線からの分岐地点として、菊陽町内の三里木・原水の両駅と大津町の肥後大津駅の3案を改めて検討する考え。JR九州は肥後大津分岐案を推す考えだ。

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