天竜浜名湖鉄道の「文化財」修繕費をCFで調達 『シン・エヴァ』の「第3村」モデル



天竜浜名湖線(天浜線、静岡県)を運営する天竜浜名湖鉄道は12月18日から、「天浜線 転車台・洗車機修理&車両基地VRプロジェクト」と題したクラウドファンディング(CF)を始めた。天竜二俣駅に併設されている車両基地の施設の修繕費などを調達する。

天竜二俣駅の車両基地に設置されている転車台。【撮影:草町義和】

調達するのは車両基地にある転車台と洗車機の修繕費用。転車台は80年使い続けており、さびが目立つようになってきたことから塗装工事を行う。洗車機はモーターと排水設備が劣化。交換部品は特注で製作する必要があり、修理費が高額になるという。このほか、天浜線のVRコンテンツを製作するための費用なども調達する。

目標金額は1000万円。支援者には返礼品として、CF限定の1日フリーやフォトブック、ポスターセット、全39駅の硬券入場券セットなどをプレゼントするほか、転車台と鉄道歴史館の夜間特別見学ツアーも開催される。

支援の申込みはCFサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で受け付けている。12月29日15時45分時点の支援総額は77万1980円。募集期間は来年2022年2月28日23時59分まで。

天浜線は東海道本線の掛川駅から天竜二俣駅を経由して東海道本線の新所原駅を結ぶ67.7kmの路線。東海道本線の迂回(うかい)ルートとして建設され、1940年までに国鉄二俣線として全線開業した。

利用者が少ないローカル線のため廃止対象路線となったが、第三セクター化で鉄道を維持することに。1987年3月に第三セクターの天竜浜名湖鉄道が経営を引き継ぎ、天浜線として再スタートした。1日の平均通過人員(輸送密度)は国鉄時代の1977~1979年度で1518人だったが、2018年度はほぼ半分の751人まで落ち込んだ。経営も厳しく、現在は自治体からの補助金で黒字を計上している状態だ。

天竜二俣駅と車両基地の施設は戦前に建造されたものが多く、登録有形文化財や近代化産業遺産に登録、認定されている。天竜浜名湖鉄道は車両基地に鉄道歴史館を併設。車両基地と歴史館の見学ツアーを行うなどして観光客の誘致を図っている。

今年2021年に公開された劇場アニメ『シン・エヴァンゲリオン劇場版』では、天竜二俣駅と車両基地をモデルにした「第3村」が登場。全地球規模の大災害から逃れた避難民が住む集落として描かれた。

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