加悦鉄道の蒸気機関車4号、解体危機で「京都→千葉」移送 CF呼びかけ



鉄道愛好家が立ち上げた「元加悦鉄道4号蒸気機関車保存会」は9月2日から、京都府北部の丹後地域で保存されている蒸気機関車を千葉県内に移送するクラウドファンディング(CF)を開始した。

加悦SL広場で展示されていた加悦鉄道の4号。【撮影:草町義和】

移送するのは、宮津海陸運輸の鉄道保存施設「加悦SL広場」(京都府与謝野町)で保存、展示されていた加悦鉄道の4号蒸気機関車。保存会は加悦SL広場の閉園により4号が「解体の危機」にひんしているとして、千葉県いすみ市内の鉄道保存施設「ポッポの丘」に移送して保存することを目指す。

支援金の募集方式は、目標金額に到達した場合にプロジェクトを実施する「All-or-Nothing方式」。まず第1目標として700万円を集め、ポッポの丘への移送費と保存場所の整地・レール敷設の費用などに充てる。さらに第2目標を1200万円とし、動態保存に向けた修繕費に充当することも計画している。

支援金の申し込みはCFサイト「READYFOR」で10月31日23時まで受け付ける。10月4日18時時点の支援総額は273万4000円。

加悦鉄道は、国鉄宮津線の丹後山田駅(現在の京都丹後鉄道宮豊線・与謝野駅)から加悦駅まで5.7kmの鉄道路線を運営していた私鉄。おもにニッケル鉱石の輸送を目的に設立され、1926年に鉄道路線を開業した。1985年には鉄道路線を廃止。カヤ興産に社名変更したのち、2011年に宮津港運と合併して宮津海陸運輸になった。

4号は大正期の1923年、川崎造船所の兵庫工場で製造されたC型タンク式の蒸気機関車。当初は河東鉄道(現在の長野電鉄)で運用されていたが、1934年に加悦鉄道が譲り受け、1969年に廃車された。

後ろから見た4号。【撮影:草町義和】

その後は1977年に設置された加悦SL広場で保存。1985年に鉄道が廃止されて1996年に加悦SL広場が移転した際も引き続き保存されていた。しかし2020年4月、加悦SL広場が閉園。ここで保存されていた車両の一部はすでに搬出されて別の場所で保存されているが、引き取り手がない車両は解体される可能性が高い。こうしたことから有志が保存会を立ち上げ、ポッポの丘への移送と保存を計画した。

保存会によると、4号は海外ライセンス契約や輸入によらない国内製造部品を使用した純国産機関車群のなかの1両。国産蒸気機関車を知るうえで貴重な車両といい、CFへの協力を呼びかけている。

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