東急電鉄は8月2日、昨年2023年1月までに東急線で全車引退した8500系電車を復活させると発表した。編成を短縮したうえで多客時やイベント時の臨時列車として運用する。
復活するのは8500系のうち最後まで運用された第8637編成。引退時は10両編成だったが、4両編成に短縮したうえで営業運転も可能な動態保存車とする。4両の車両番号は二子玉川・大井町寄りから8637+8797+8980+8537。今年2024年秋ごろから大井町線・大井町~溝の口や田園都市線・二子玉川、こどもの国線で、イベント時の臨時列車や団体臨時列車として運行する予定だ。
8500系は先頭部に東急電鉄コーポレートカラーの赤い帯を入れるのが標準的なデザインだが、引退時の第8637編成は先頭部と側面に青い帯を入れたオリジナルデザインだった。復活に際しては8637号の先頭部が青帯のままで、8537号の先頭部は赤帯に変更。側面も一方は青帯のままで、もう一方は帯なしに変更し、1編成で2種類のデザインを楽しめるようにする。
8500系は1975年にデビュー。東急新玉川線(現在の東急田園都市線の一部)と営団地下鉄(現在の東京メトロ)半蔵門線の相互直通運転に対応するための車両として、8000系をベースに開発された。
当初は4両編成だったが、輸送力強化のため最終的には10両編成に。1991年までに400両が製造され、東急線では最も多い車両になった。田園都市線と中心に東横線や大井町線でも運用されたが、2003年以降は5000系電車や2020系電車の導入に伴い順次廃車され、最後に残った第8637編成も2023年1月25日をもって引退した。一部の車両は長野電鉄や秩父鉄道、インドネシアの都市鉄道会社に譲渡された。
東急電鉄は8500系の動態保存について「お客さまや鉄道ファンから引退を残念がる声が寄せられたこと、8500系は当社最後の直流モーター車であり職員への技術伝承に活用できること、多客時やイベント時の運行にも活用できることから、今般の復活に至りました」としている。
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