JR白棚線のバス専用道「一部廃止」残りは1カ所だけに 鉄道敷地活用BRTの先駆け



JRバス関東は6月14日、一般路線バス「白棚線」(福島県)について、一部の区間をバス専用道経由から一般道(国道289号)経由に変更すると発表した。これにより同線のバス専用道は1カ所だけになる。

白河駅前に停車しているJRバス関東のバス。【撮影:草町義和】

変更は7月1日の始発から。専用道を経由している区間のうち三森~表郷庁舎前を国道289号経由に変更する。これに伴い同区間のバス専用道は6月30日限りで廃止に。高木・梁森・表郷庁舎前の各停留所も国道298号上に移設される。移設後の各停留所のバス発車時刻は変更しない。JRバス関東は一般道経由への変更について、専用道の老朽化が進んでいるためとしている。

白棚線で現在使われているバス専用道の位置(青)。三森~表郷庁舎前の専用道が廃止され一般道経由になる。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

白棚線は1916年、白河町駅(のちに東北本線の白河駅に統合)と水郡線の磐城棚倉駅を結ぶ鉄道として開業。当初は私鉄の白棚鉄道が運営していたが、1938年に国鉄が借り入れて1941年に国有化された。

戦時中の1944年に不要不急線として休止になり、レールなどは軍事資材として活用するため撤去された。戦後は鉄道の復旧が計画されたものの需要が見込めないこともあり、線路敷地にバス専用道を整備してバスを運行する計画に転換。1957年に国鉄バスの白棚高速線として開業した。1969年には現在の白棚線に改称されている。

廃止された鉄道をバス専用道に転換した例はこれ以前にもあったが、国鉄バスのバス専用道としては、これが初めて。近年増えている鉄道敷地活用型のバス高速輸送システム(BRT)の先駆けといえる。1987年の国鉄分割民営化ではJR東日本が引き継ぎ、翌1988年からJRバス関東が運行している。

開業当初はほぼ全線が専用道経由だったが、国道289号など一般道の整備が専用道の敷地を活用する形で進んだため、現在は一般道を走る区間が多い。今年2024年6月1日時点で使われている専用道は三森~表郷庁舎前と磐城金山~関辺の2カ所。今回の経由地変更で専用道は磐城金山~関辺の1カ所だけになる。

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