東京都の都市計画局は1月28日、多摩モノレールの町田方面への延伸ルート4案を公表した。町田市内の主要地点をおおむね通過する「B案」が最適とし、今後はこの案を基本に検討されることになった。
公表されたのは東京都の「多摩都市モノレール町田方面延伸 ルート検討委員会」が昨年2021年12月にまとめた検討結果。導入空間となる道路が未整備の中間部(多摩市・町田市の市境付近から町田市立忠生小学校付近まで)について、A案、B案、B’案、C案の4案を比較した。この中間部の前後は導入空間の道路が整備済みか計画・工事中で、4案とも共通のルートになる。
A案は2016年4月に国土交通大臣の交通政策審議会が答申した『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』(交政審198号答申)で盛り込まれた従来の想定ルート。延長約13kmで小山田桜台団地や桜美林学園を経由する。1日の需要は約8万人とされた。
B案は町田市内の主要拠点をおおむね通過する約16kmのルートで、A案より3km長い。町田陸上競技場や野津田高校、日本大学第三高校、小山田桜台団地、桜美林学園を通る。需要はA案より5000人少ない約7万5000人。野津田高校から日本大学第三高校までのルートを若干短縮したB’案は約7万4000人と試算された。
C案は多摩センター~町田間の速達性を重視したルートで、距離はA案と同じ約13kmだが町田陸上競技場と野津田高校を通り、小山田桜台団地と桜美林学園は通らない。需要は4案のなかで最も少ない約7万3000人とされた。
事業の実施によって社会的に得られる効果(B/C)はA案とC案が約1.4、B案とB’案が約1.1で、4案とも社会的効果が費用を上回るとされた。一方、沿線開発との関係では、アクセス向上が期待される主要拠点の数や計画済みのまちづくりとの連動などで、B案の評価が最も高くなった。
検討委は「速達性は他ルートに比べやや劣る」としつつ「現時点で確実に需要が見込める拠点を経由する」「町田陸上競技場や野津田高校、日大三高など更なる需要の増加が見込める拠点を経由する」としてB案を選定。今後はB案を基本に各種課題の解決に向けた取組を進めるべきとした。
都市整備局は検討結果を受け、「まちづくりの深度化や収支採算性の更なる精査等の結果によっては、A案やC案をあらためて検討することもあります」としつつ、B案を基本に沿線のまちづくりを進めていく方針を示した。
町田市の石阪丈一市長は2022年1月28日、「いよいよルートが定まり、多摩都市モノレール・町田方面延伸は事業化に向けて大きく前進しました」とコメント。沿線のまちづくり計画の策定に着手するほか、モノレールの導入空間となる幹線道路の新設・拡幅の都市計画決定を東京都と連携して進める方針を示した。
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