米坂線「鉄道復旧を目指す」山形・新潟知事の見解一致 復旧費の負担は?



水害で一部区間の運休が続いている米坂線について、山形県の吉村美栄子知事は4月17日、新潟県の花角英世知事と鉄道による復旧を目指す方向で見解が一致したことを明らかにした。

米坂線の運休区間に含まれる小国駅。【画像:雁坂出版社/写真AC】

吉村知事によると、4月12日に東京都内で30~40分ほど花角知事と会談。「米坂線は災害で被災したものであるから、第一義的には鉄道事業者であるJR東日本が鉄道として復旧する必要があるという意思を確認しあったところ」と話した。

一方、復旧費について言及があったかどうかについては「言及ということはなかった、といっていいのか分からないが、担当者同士ではやりとりはあるかと思うが、いま申し上げる段階ではない」と話し、明言を避けた。

山形県と新潟県は米坂線の全通記念日になる8月31日の前後にも、「米坂線復活絆まつり」と題したイベントを開催する考え。実行委員会の設立総会とキックオフイベントを4月23日に米沢駅で開催する。

米坂線は米沢~坂町の90.7kmを結ぶ鉄道路線。山形県と新潟県の山岳地帯を縦断する。2022年8月の豪雨で橋梁の流失や盛土流出など112カ所で被害が発生し、現在も今泉~坂町の67.7kmが運休中。同区間で代行バスが運行されている。JR東日本の試算によると、復旧費は約86億円で工期は5年の見込みという。

米坂線の運休区間(赤)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

運休区間の輸送密度はJR東日本発足時の1987年度で今泉~小国が833人、小国~坂町が864人だったのに対し、コロナ禍が本格化する前の2019年度では今泉~小国が298人、小国~坂町が169人に。沿線人口の減少に加え、かつて新潟~山形を米坂線経由で直通していた都市間輸送列車の利用者が高速バスにシフトしたこともあり、利用者が大幅に減少した。仮に復旧しても持続的に維持できるかどうかは不透明だ。

昨年2023年8月、JR東日本と山形・新潟両県の沿線自治体で構成される復旧検討会議が設置された。JR東日本は復旧に向けた課題として、復旧費の一部地元負担や復旧後の安定的な経営を挙げている。沿線自治体は今年2024年3月に開かれた検討会議の第2回会合で利用拡大策を示したものの費用負担には触れておらず、議論は進んでいない。第3回会合の時期は未定。

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