水郡線の砕石輸送列車「新型」GV-E197系に 機関車牽引を気動車に更新



JR東日本の水戸支社は3月15日、水郡線で新型の砕石輸送気動車「GV-E197系」による砕石輸送を始めると発表した。DE10形ディーゼル機関車とホキ800形貨車による砕石輸送列車を更新する。

電気式気動車と砕石用貨車で構成されるGV-E197系。【画像:しろかね/写真AC】

水郡線の西金駅の近くには、レールと枕木の下に敷くバラストとして使用する砕石の採掘場があり、同駅から水戸支社と千葉支社の各線で使う砕石を列車で運んでいる。従来はDE10形ディーゼル機関車が砕石用貨車のホキ800形を牽引して運んでいたが、車両の老朽化のため新型のGV-E197系に置き換えられることに。西金駅の設備改良がこのほど完了したのを受け、4月2日から運行を開始する。

GV-E197系の砕石輸送列車は、GV-E197形電気式気動車2両とGV-E196形砕石用貨車4両で構成される6両編成。編成両端にGV-197形、中間にGV-196形を連結する。砕石輸送や砕石散布作業のほか、GV-E197形は非電化区間の車両の入換作業や回送車両などの牽引用としても使用する。

水戸支社によると、新しい砕石輸送列車は編成両端に運転台を設ける形になり、方向転換時の機関車の付替作業が不要。安全性が向上し、効率的な砕石輸送が可能になる。GV-E197形は車両の構造が最新の電車や気動車に準じたものになり、省メンテナンス化を実現。ディーゼル機関車の運転には気動車免許が必要で、JR東日本は電車免許の取得後に気動車免許を取得しているが、電気式気動車のGV-E197形は電車免許のみで運転することができ、「担い手の幅」が広がる。

ディーゼル機関車が牽引する従来の砕石輸送列車。【画像:サーモンラン/写真AC】

砕石を運んで散布する貨車のGV-E196形は、従来のホキ800形にはなかった「軌間内散布モード」を搭載した。JR東日本によると、従来は2本のレールの外側に砕石を散布し、人力により後追いでレールの内側に散布していたが、軌間内散布モードにより2本のレールの内側への散布の安全性や効率性が向上。後追いの人力作業の削減効果も期待されるという。

軌間内散布モードを搭載したGV-E196形(右)。【画像:JR東日本】

水戸支社は新型砕石気動車への更新で「車両の効率的な運用およびメンテナンスを実現するとともに、砕石輸送が大きく変革します」としている。

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