九州南部の大雨で鉄道各線の運休続く 流出した橋りょうは「文化財」



九州南部の鉄道各線は7月5日も大雨の影響で一部の路線が運転を見合わせている。一部の路線では橋りょうが流出するなどの甚大な被害が発生しており、復旧には相当な時間がかかるとみられる。

球磨川の氾濫で流出した肥薩線の球磨川第一橋りょう。【画像:国土地理院】

7月5日12時30分までに鉄道プレスネット編集部がまとめた運行計画や運転状況によると、同日の各線の状況は次の通り。

●JR九州
肥薩線・八代~吉松間:終日運転見合わせ

日豊本線・西都城~国分:始発から12時頃まで運転見合わせ(計画運休)
日南線・南郷~志布志:始発から12時頃まで運転見合わせ(計画運休)
肥薩線・吉松~隼人:始発から12時頃まで運転見合わせ(計画運休)
吉都線・都城~吉松:始発から12時頃まで運転見合わせ(計画運休)
指宿枕崎線・五位野~枕崎:始発から12時頃まで運転見合わせ(計画運休)

九州新幹線・熊本~鹿児島中央:始発から本数を減らして運転
日豊本線・南宮崎~西都城:始発から本数を減らして運転
日豊本線・国分~鹿児島中央:始発から本数を減らして運転
日南線・南宮崎~南郷:始発から本数を減らして運転
指宿枕崎線・鹿児島中央~五位野:始発から本数を減らして運転

※特急列車や観光列車は「かわせみ やませみ」「SL人吉」「いさぶろう」「しんぺい」「指宿のたまて箱」が終日運休、「はやとの風1・2号」が運休、「きりしま」が始発から運転見合わせ

●肥薩おれんじ鉄道
肥薩おれんじ鉄道線・八代~出水:終日運転見合わせ

●くま川鉄道
湯前線:終日運転見合わせ

国土交通省によると、JR九州の肥薩線は鎌瀬~瀬戸石間の球磨川第一橋りょうが流出したほか、複数の駅の線路が冠水。くま川鉄道の湯前線も人吉温泉駅構内の線路が冠水して土砂が流入したほか、川村~肥後西村間では球磨川第四橋りょうが流出した。肥薩おれんじ鉄道線は佐敷駅構内での線路冠水が確認されている。

球磨川第一橋りょうは110年以上前の明治期、1908年に架設。アメリカ人技師が設計し、アメリカン・ブリッジ社が製作した。非常に珍しいピン結合方式のトラス橋で、2007年には経済産業省が第一球磨川橋りょうを含む肥薩線関係の13件を近代化産業遺産に認定した。鋼製14連桁橋を採用したくま川鉄道湯前線の球磨川第四橋りょうも、国の登録有形文化財に指定されている。