いすみ鉄道「最後のキハ58系」キハ28 2346が引退へ 11月に定期運行終了



いすみ鉄道(千葉県)は5月20日、キハ28形2346号車の定期運行を11月27日で終了すると発表した。不定期運行も来年2023年2月には終了の見込み。国鉄気動車キハ58系で唯一の国内営業車両が引退する。

いすみ鉄道のキハ28 2346(右)。【画像:りっくん_/写真AC】

いすみ鉄道によると、キハ28 2346はすべての部品を取り外して行う法定検査(全般検査)を今後実施する必要がある。また、エンジンの老朽化が進んで交換部品も生産が中止されており、今後も営業車両として運用するためにはエンジンの交換などが必要だ。

しかし、キハ28 2346の全般検査やエンジン交換などにかかる費用は運賃収入の年間売上を超える金額になるといい、「これ以上活躍させるには車両維持に多額の資金が必要な事や、走行用エンジンや冷房エンジンの部品確保が困難を極める」として運行を終了することにしたという。同社の旅客運輸収入は4855万9450円(2020年度)。

定期運行の終了後は、貸切車両などでの不定期運行が来年2023年2月初旬まで行われる予定。引退記念のイベントも計画されている。

中国の天津港で保管されているキハ58系。【撮影:草町義和】

キハ28形などを含むキハ58系は、1960年代に国鉄の急行用として製造された気動車。1987年の国鉄分割民営化でJR旅客各社が引き継いだが、老朽化のため2018年までに引退し、2020年までに廃車されている。

いすみ鉄道のキハ28 2346は2012年にJR西日本から譲り受け、翌2013年から運行を開始した。車両の不足・更新に伴うものではなく、レトロ感のある古い国鉄車両を観光資源とみなして観光客の誘致を目指したもの。2011年に運行を開始した国鉄気動車キハ52形の125号車に続く国鉄気動車の導入だった。JR旅客各社のキハ58系が全廃されて以降、国内では最後の営業車両となっていた。

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