熊本空港アクセス鉄道「詳細なルート」2024年度末にも公表へ



熊本県は2月22日、熊本空港アクセス鉄道の現在の検討状況や今後の取組の内容などを明らかにした。詳細なルートなどを来年度2024年度末ごろに示す考え。

熊本空港アクセス鉄道との直通運転を行うことが考えられているJR豊肥本線。【撮影:鉄道プレスネット】

熊本空港アクセス鉄道は、豊肥本線の肥後大津駅から分岐して熊本空港に至る約6.8kmの鉄道新線の構想。豊肥本線に乗り入れて熊本~熊本空港を直通する。事業費の見込みは約410億円。熊本県は2027年度の工事着手、2034年度の開業を目指しており、2024年度当初予算案では整備推進費として1億4700万円を計上した。

熊本県によると、昨年2023年12月に公表した環境影響評価配慮書・都市計画構想段階評価に対する住民意見が1件あり、内容は鉄道構造物の設置による農地への日照被害を心配する意見だった。2024年1月には環境影響評価審議会で配慮書の審議があり、生態系や地下水などへの影響に留意することなどを求める意見が上がり、知事意見として今後まとめられるという。

熊本県は今後、事業化に向けた検討の深度化を進めるとともに、ルートの絞り込みなど概略設計の事前調査に加え、環境影響評価・都市計画の手続きや需要予測、収支試算などを実施する考え。運営方法や費用負担、豊肥本線からの分岐部分の検討など、JR九州との協議も引き続き進める。国に対しては財政支援の要望などを行う考えだ。

熊本県は環境影響評価配慮書や都市計画概略案などでルートの想定を示しているが、その幅は2kmほどある大まかなもので、実際に鉄道線路をどこに建設するかは示していない。同県は2024年度末ごろをめどに詳細なルートを公表する方針。「部分的に公表すると過度の不安感や期待感を招きかねない」とし、事業費や需要予測、収支計画なども含めて総合的に公表するという。

「阿蘇くまもと空港駅」という愛称が付けられた肥後大津駅と熊本空港を結ぶ「空港ライナー」(右下)。【撮影:鉄道プレスネット】

このほか、熊本県は豊肥本線を活用した空港アクセス改善策として運行している肥後大津~熊本空港の無料バス「空港ライナー」の利用状況も明らかにした。1日の利用者数は2011年度の運行開始時が116人だったのに対し、2019年度は約2.8倍の324人に。2020年度以降はコロナ禍で大幅に減少したが、2022年度は281人まで持ち直している。2011年10月から2023年12月までの延べ利用者数は102万4249人。

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