「富士山登山鉄道」反対の富士吉田市がアンケート 構想推進の山梨県は説明会



山梨県の富士吉田市は、「富士山登山鉄道」の賛否を問うアンケートを実施している。同市ウェブサイトからアンケート専用ページにアクセスして回答することができる。同市はアンケート期限を11月末までと想定。結果の集計後、市のウェブサイトで公表するとしている。

富士山登山鉄道への導入が考えられている架線レス路面電車(写真は中国・淮安)。【撮影:草町義和】

構想を推進する山梨県は11月下旬に地元説明会を開催する計画。11月21日に山中湖村公民館(定員150人)で実施し、11月23日には富士吉田市内のふじさんホール(定員800人)で説明会を行う予定だ。事前申込制で山梨県のウェブサイトからアクセスできる申込専用フォームで受け付ける。締切は11月17日。

富士山登山鉄道は、富士山有料道路(富士スバルライン)の富士山麓から富士山5合目までの区間(約25~28km)に架線レス路面電車タイプの軽量軌道交通(LRT)を整備する構想。山梨県が実現に向け推進している。

山梨県の構想委員会が2021年2月に承認した構想案によると、所要時間は上り(麓→5合目)が約52分、下り(5合目→麓)が約74分。事業費を約1400億円で、年間利用者を約300万人、運賃は往復で1万円と想定した場合、事業成立の可能性が高いとしている。

富士スバルラインに敷設した軌道を走る架線レス路面電車のイメージ。【画像:山梨県】
富士スバルラインのルートと富士山登山鉄道の整備範囲。【画像:山梨県】

富士山は世界遺産の登録に伴い観光客が大幅に増加。2019年には登録前の2倍以上となる約500万人が5合目を訪れた。このためスバルラインを通る大型バスなどの増加による渋滞や混雑、排出ガスによる環境破壊が大きな課題になっている。

山梨県は既存のスバルラインに軌道を敷設することで建設時の環境破壊を抑える考え。また、許可車両を除いてスバルラインの自動車通行を規制して電気動力の登山鉄道に転換することで、排出ガスなどによる環境負荷を軽減する考えだ。

これに対し富士吉田市は登山鉄道の整備に反対して山梨県と対立。スバルラインでは雪崩が頻繁に起きていて登山鉄道の整備には大きなリスクを伴うなどとしている。また、現在は夏山シーズンにマイカー規制を実施して電気バスによるシャトルバスを運行しており、登山鉄道以外の方策による環境負荷の軽減を図るべきとの考えも示している。

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