熊本空港アクセス鉄道「中間駅」の有無は? 熊本県、環境影響評価配慮書など公表



熊本県は12月12日、同県が構想している大規模プロジェクト「熊本空港アクセス鉄道」の構想段階評価書と計画段階環境配慮書を環境影響評価条例に基づき公表した。

熊本空港の北側を流れる白川(下)。写真の左奥あたりが熊本空港アクセス鉄道の計画区域になる。【撮影:草町義和】

構想段階評価書と計画段階環境配慮書によると、事業名は「(仮称)阿蘇くまもと空港アクセス鉄道整備事業」。JR九州の豊肥本線・肥後大津駅から阿蘇くまもと空港駅(仮称)まで約6.8kmを計画区域とした。事業実施想定区域の幅は2kmほどになる。

線路は単線とし、肥後大津駅から白川を渡った先までの約3kmは地上式(地表・掘削・かさ上げ)を採用。大半は高架橋で整備するが、一部は地表に線路を敷く。その先の高遊原台地は地下トンネルで整備する。阿蘇くまもと空港駅は地上式と地下式の両方を検討中だ。

熊本空港アクセス鉄道の計画区域。【画像:熊本県】
熊本空港アクセス鉄道計画区域の地域環境と鉄道構造の想定。【画像:熊本県】

新設駅は阿蘇くまもと空港駅だけで、中間部に駅は設けない。ただし列車の行き違いに対応した信号場の設置を予定している。

構想段階評価書と計画段階環境配慮書への意見書の提出は来年1月16日まで熊本県企画振興部交通政策・統計局交通政策課空港アクセス整備推進室で受け付ける。熊本県は今後、測量・地質調査なども踏まえ、鉄道概略設計などのなかでルートや構造などの詳細検討を進める。それと並行して環境影響評価や都市計画決定に向けた準備も進める考えだ。

熊本県は2022年12月、熊本空港アクセス鉄道を肥後大津駅から分岐するルートで整備する方針を決定。今年2023年12月1日には調査検討事業の設計調査費(8000万円)を含む2023年度一般会計補正予算案を県議会に提出した。関係者との調整などの時間を確保するため、鉄道概略設計調査の一部を前倒しして実施する。

事業費は概算で約410億円。豊肥本線に乗り入れ、熊本~熊本空港を約40分で結ぶ。

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