香椎線の自動運転「全列車の18%」で開始 鹿児島本線は実証運転に移行



JR九州は2月22日、香椎線(福岡県)で3月16日から自動運転を開始すると発表した。自動列車運転支援装置の走行試験が行われている鹿児島本線でも、営業列車での実証運転に移行する。

香椎線を走る「DENCHA」。【画像:JR九州】

香椎線の自動運転は2019年に導入されたBEC819系蓄電地電車「DENCHA」を使用。3月16日から全173本の列車のうち約18%の31本で自動運転を行う。3月17日の11時から香椎駅で出発式を実施する。

自動運転レベルは「GoA2.5」で、運転士の資格を持たない乗務員が乗務する方式。基本的には自動運転システムで走行するが、非常時の緊急停止操作などに限り乗務員が手動操作する。

香椎線では2019年12月からGoA2.5による自動運転の走行試験が始まり、2020年には営業列車による実証運転に移行して自動運転の開発が進められてきた。GoA2.5の自動運転が本格的に実施されるのは香椎線が初めてだ。

乗務講習中の自動運転乗務員。【画像:JR九州】

鹿児島本線では3月16日から自動列車運転支援装置の実証運転を開始する。自動運転レベルは「GoA2.0」。緊急時などに手動操作するのはGoA2.5と同じだが、乗務するのは運転士の資格を持つ乗務員になる。装置の対応区間は門司港~荒尾の151.6kmで、JR九州によると同一路線でのGoA2.0の区間としては日本最長になるという。

実際に実証運転を行うのは折尾~二日市(福岡県)の62.3km。車両は「DENCHA」を使用し、香椎8時13分→博多8時27分から折尾14時57分→博多16時09分まで上下計5本の営業列車で自動列車運転支援装置の実証運転を行う。JR九州は2025年度末までの導入を目指すとしている。

GoA2.0とGoA2.5は乗務員が列車に乗り込む必要はあるが乗務員の負担を軽減。GoA2.5では運転士に比べ対応乗務員の養成が容易なことから養成費の低減や養成期間の短縮を図ることができ、乗務員を確保しやすくなるなどの利点がある。JR九州は将来にわたる労働人口減少のなかで必要な人材を確保するため、鉄道車両の自動運転に取り組んでいるとしている。

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