JR東海の在来線電車「検査周期を延伸」全般検査は8年→10年、年4億円のコスト削減



JR東海は1月18日、鉄道車両の法定検査(定期検査)について、4月から一部の車両について検査の周期を変更すると発表した。検査周期を延伸することで業務の効率化とコスト削減を図る。

検査周期が延伸される313系。【撮影:草町義和】

検査周期を変更するのは1999年以降、JR東海が在来線の普通列車に導入している313系電車と315系電車。定期検査のうち、モーターやブレーキなど重要な装置を取り外して検査する重要部検査と、主要部品をすべて取り外して検査する全般検査の周期を延ばす。

313系と315系の検査周期は現在、重要部検査が4年以内または走行距離60万km以内。変更後は5年以内または80万km以内にする。全般検査は現在の8年以内から10年以内に延ばす。2026年度に量産先行車が完成する予定の385系特急型電車も、313・315系と同じ検査周期にする。

313系・315系の現在の検査周期と2024年4月以降の検査周期。【画像:JR東海】

鉄道車両の定期検査は国土交通省の告示「施設及び車両の定期検査に関する告示」(定期検査告示)で車両の種類ごとに定められている。ただし車両の耐久性などを確保できれば、定期検査告示で定めた周期より検査周期を延ばすことができる。

JR東海によると、313系や315系の投入にあわせて最新の技術を導入し、315系では車両の状態を常時監視するシステム「DIANA」も導入。これにより故障件数の減少や故障の未然防止を図られて車両の信頼性が向上したことから、検査周期の延伸を構想した。

まず車両の機器や部品の耐久性などを確認するため、2014年度から2016年度までの検査・修繕実績を検証。実際に検査周期を長くした車両の走行試験も2018年10月から2023年1月にかけて実施した。その結果、検査周期を延ばしても不具合がないことを確認したとし、検査周期の延伸を決めた。

同社のすべての電車が検査周期を延ばした車両に置き換わった場合、部品の交換数量の削減などで年間約4億円のコスト減少が見込まれるほか、検査の工程を見直すことで検査に必要な人員を減らすことができるという。

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