埼玉に保存鉄道「関水本線」建設中 ナローの新造SLや西武の蓄電池機関車も



鉄道模型メーカーの関水金属は7月20日、同社の鶴ヶ丘新工場(埼玉県鶴ヶ島市)で建設中の保存鉄道「KATO Railway Park・関水本線」について、同線で運用する車両の概要などを発表した。国内外の各地で保存されていた蒸気機関車やディーゼル機関車、客車などのほか、新たに製造した蒸気機関車も導入する。

関水金属の鶴ヶ丘新工場のイメージ。新工場を取り囲むように関水本線の線路が敷かれ、鶴ヶ丘児童公園(下)から見学できる。【画像:関水金属】

関水本線は新工場を周回するルートで一周約620m。非電化単線で軌間は762mmと610mmを組み合わせたナローゲージ三線軌を採用する。機関庫を併設した駅を一つ設けるほか、新工場に隣接してナローゲージの車両を保存展示する展示室を設置する。

軌間は762mmと610mmの三線軌を採用する。【画像:関水金属】

蒸気機関車は「OLIVER (オリバー)号」と「OSCAR(オスカー)号」の2両が導入される。「オリバー号」は、もと台湾糖業の362号機でベルギー製。1986年に日本に渡り、長野県南牧村にあった観光施設「野辺山SLランド」(2018年閉園)で動態運行されていた。関水本線での運用に向け車体や走行装置を改修し、外観も含めてリニューアルした。

「オスカー号」は610mm軌間に対応した新造の蒸気機関車。現在は仕上・調整中で、8月4~6日に新宿住友ビル三角広場(東京都新宿区)で開催される「鉄道模型コンテスト2023全国大会」で静態展示される予定だ。

もと台湾糖業の蒸気機関車362号。【画像:関水金属】
関水本線向けに新造される「オスカー号」のイメージ。【画像:関水金属】

ディーゼル機関車も野辺山SLランドで動態運行されていたものを「BILLY(ビリー)号」として運行する。酒井工作所製の7t機で、野辺山に移る前は関東特殊製鋼(カントク)の工場内専用線で使われていた。

このほか、西武鉄道の山口線がナローゲージの鉄道だったころに同線を走っていた車両も集結。蓄電地機関車と遊覧客車で構成される「おとぎ電車」や蒸気機関車532号、木造客車34号を保存する。このうち「おとぎ電車」は動態保存車として実際に走らせる予定だ。

鶴ヶ丘新工場はすでに倉庫の運用が始まっているが、関水本線は来年度2024年度中に完成の予定。一般公開と走行は鶴ヶ島市と関水金属が連携して運営する予定だ。

関水本線や機関庫、車両は安全が確保される場合のみ公開される計画。ただし新工場に隣接する鶴ヶ丘児童公園が2024年春ごろのオープンに向けリニューアル工事中で、ここから関水本線を常時見ることができるようにする。

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