JR東海は9月8日、紀勢本線(三重県・和歌山県)で新しいタイプの軌道自転車「電動式軌道自動自転車」の性能確認試験を実施していると発表した。
この軌道自転車はバッテリーに充電した電気を使ってモーターを回し、線路上を走る仕組み。バッテリーは国産電気自動車のバッテリーを再利用している。近年製造されている電車の多くで採用されている回生ブレーキも搭載しており、ブレーキ時にモーターを発電機として動作させ、発電した電気を利用することで走行距離を延ばすことができる。
従来のガソリンエンジンを使用した軌道自転車と異なり、排出ガスを出さない。JR東海によると、同社の在来線部門が保有する全207台の軌道自転車を電動式に取り替えた場合、年間で約3.4tの二酸化炭素(CO2)を削減できる。また、騒音と振動が大幅に低減することで指令所などとの情報の共有がしやすくなるほか、点検中の設備や沿線状況の変化を把握しやすくなるという。
7月から紀勢本線で性能確認試験を実施しており、雨期や酷暑期、厳冬期などにおける走行性能への影響、長期間の繰り返し使用による走行可能距離・使用可能時間への影響を検証。回生ブレーキの走行距離延伸効果の確認も行う。試験期間は来年2022年3月までの予定だ。
軌道自転車は線路上を走行する保線作業用の自転車。人力のほかエンジンを搭載した自動自転車もあり、災害時や点検時の線路巡回などで使われる。近年は廃線になった線路を走る観光用の軌道自転車もある。
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