カジノを含む統合型リゾート(IR)をテーマパーク「ハウステンボス」(佐世保市)に誘致することを目指している長崎県は9月21日、IR区域への交通アクセスを確保するため「トラム」の導入も検討する考えを明らかにした。
同日開かれた県議会9月定例会の一般質問で、浦真樹企画部長が答弁した。それによると、「トラム」はJR大村線のハウステンボス駅からハウステンボスの駐車場、周辺のホテルなどを経由し、IR施設内まで整備。ハウステンボス駅では駅舎内にトラムの乗降施設を設置し、待合室の拡張やトイレの増設なども含めJR九州と協議していくという。
長崎県のIR推進課によると、 IR設置運営事業予定者のカジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン(CAIJ) からの提案に「トラム」の整備があったという。一方、2020年に策定された九州・長崎IR基本構想では「周辺交通対策やVIP向けの対応として、海や自然といった地域特性を活かした交通機関(モノレール等の新交通、海上交通や小型航空機を活用した離島路線拡大など)」を導入するとし、導入に際しては「移動時間の短縮とともに、移動時間も楽しみとなるようなエンターテインメント性を備えたもの」を提供するとしている。
「トラム」は通常、日本語では路面電車や軽量軌道交通(LRT)を指すが、基本構想では明示されていない。IR推進課は「(基本構想に記されている)モノレール等の『等』にトラムも含まれるという認識」としている。今後、路面電車に限らずモノレールやロープウェイなども含め、幅広く検討されるとみられる。
IRはハウステンボスの敷地のうち、パレスハウステンボスやハーバータウン、ホテルヨーロッパ、フォレストヴィラなどがある区域(約30ha)に誘致する計画。年間来訪者は840万人と想定されている。長崎県によると、CAIJは最短で2027年度中の開業を見込んでいるという。
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