大阪の中心部を南北縦断「なにわ筋線」工事施行認可 2031年春の開業目指す



関西高速鉄道は2月28日、大阪市の中心部を南北に縦断するJR西日本・南海電気鉄道(南海電鉄)の新線「なにわ筋線」の工事施行認可を取得したと発表した。2031年春の開業に向け、鉄道法規上の着工の準備が整った。

なにわ筋線の平面図(上)と縦断面図(中)、横断面図(下)。【画像:関西高速鉄道】

JR西日本・南海電鉄・関西高速鉄道の3社は昨年2019年7月10日、なにわ筋線の鉄道事業許可を取得。続いて同線を建設する関西高速鉄道が同年10月15日に工事施行認可を申請していた。

認可を受けたのは、大阪市北区大深町から同市浪速区湊町一丁目・戎本町一丁目まで合計約7.2kmの鉄道線路・停車場・運転保安設備・変電所設備・電路設備。線路の構造は地下6.5km、掘割・盛土0.3km、高架0.4kmになる。建設区間内には、中之島駅と西本町駅、南海新難波駅(いずれも仮称)が設けられる。

総事業費は約3300億円で、1日あたり約24万人の利用を見込む。開業は2031年春の予定。関西高速鉄道は今後、都市計画事業の認可手続きを進め、早期の着工と開業を目指すとしている。大阪市も2月28日、都市計画決定の告示と環境影響評価書の公告を行った。

なにわ筋の地下に建設

なにわ筋線は、大阪駅北側の再開発エリアに設けられる北梅田駅(仮称)とJR関西本線のJR難波駅を結ぶ区間と、JR難波駅の手前で分岐して南海電鉄の新今宮駅を結ぶ区間で構成される。

なにわ筋線の建設ルート。【画像:関西高速鉄道】

北梅田駅は現在、関西国際空港(関空)アクセス特急「はるか」などが走るJR東海道本線貨物支線(梅田貨物線)の地下化にあわせて工事が進められており、2023年に開業予定。なにわ筋線は同駅の少し先で梅田貨物線から分岐し、なにわ筋の地下を通ってJR難波駅と新今宮駅まで延びる。

北梅田~西本町間はJR西日本と南海電鉄が共同で営業し、西本町~JR難波間はJR西日本、西本町~新今宮間は南海電鉄の列車がそれぞれ走る。第三セクターの関西高速鉄道が建設し、JR西日本と南海電鉄が同社から線路を借りて列車を運行する。

同線が開業すると、関西国際空港(関空)アクセス特急「はるか」は北梅田~天王寺間のルートがなにわ筋線経由に変わり、所要時間が短縮。南海電鉄の関空アクセス特急「ラピート」も難波から梅田エリアに乗り入れる見込みで、梅田エリアからのアクセスの改善が図られる。

《関東鉄道》
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