北海道新幹線で宅配便荷物を運ぶ「貨客混載」JR北海道と佐川急便が実車検証



JR北海道と佐川急便の2社は2月13日、北海道新幹線の旅客列車で宅配便の荷物を運ぶ「貨客混載輸送」の実車検証を3月上旬に実施すると発表した。事業化に向けた検討を本格化させる。

北越急行ほくほく線の旅客列車で行われている貨客混載輸送。専用ボックスに収納した宅配便荷物を旅客と一緒に運ぶ。【撮影:草町義和】

現在、佐川急便の青森営業所~函館営業所間の宅配便荷物は、中間の青森港~函館港間でフェリーを使用している。2社が検討している貨客混載輸送では、新青森~新函館北斗間で新幹線の旅客列車に宅配便荷物を載せ、青森営業所~新青森間と新函館北斗~函館営業所間間はトラックで運ぶ。宅配便荷物は専用ボックスに収納し、新幹線車両の客室内に積載することが考えられている。

青森~函館間の所要時間は、フェリーが3時間40分なのに対し、北海道新幹線は2時間40分短い1時間程度。佐川急便は「北海道・本州間の輸送ネットワークの効率化による配送品質の向上を図り、これまでより短いリードタイムでの輸送を可能にする新しいサービス展開の実現」を目指すとしている。事業化については今後、実車検証の結果などを踏まえて関係機関などと調整していくという。

鉄道の旅客列車で宅配便荷物などを運ぶ貨客混載は近年、ローカル線を中心に拡大している。貨物事業者は一部の区間を別の交通機関に変えることで運転手不足の緩和につながるというメリットがある。利用者が少なく経営の厳しいローカル線の運営会社にとっても、列車内の空いているスペースを活用することで運賃収入が増える。

佐川急便は2017年4月、北越急行ほくほく線の六日町~うらがわら間(新潟県)で、旅客列車を使った貨客混載を開始。2019年4月からは、JR北海道の宗谷本線・稚内~幌延間でも貨客混載を行っている。同区間では1日あたり約50~60個の宅配便荷物を輸送しているという。

北海道新幹線を走る旅客列車。【画像:中村昌寛/写真AC】