熊本電鉄の買収国電「モハ71」修繕に向けCF 製造から96年も動態保存



熊本電鉄は7月24日、同社が動態保存している「買収国電」のモハ71形電車を修繕すると発表した。7月25日17時から修繕費用を調達するためのクラウドファンディング(CF)を始めた。

2009年に改修したときのモハ71。【画像:熊本電鉄】

CFの期間は8月30日23時59分まで。CFサイト「うぶごえ」で寄付を受け付けている。目標金額は450万円。返礼品としてモハ71形グッズや貸切撮影会、構内試走乗車体験などを用意している。

モハ71形は96年前の1928年に5両が製造され、広島電気が運営する鉄道(現在のJR可部線)に導入された。当初の車両番号は1~5。この鉄道は1931年に広島電気子会社の広浜鉄道が引き継いだが1936年に国有化。1928年製の5両も形式をモハ90形に改めて国鉄が引き継いだ。1945年には広島への原爆投下で被災し、2両が廃車されている。

残る3両は戦後の1953年に廃車されたが、1957年までに熊本電鉄が譲り受けて形式名がモハ71形(モハ71~73)に変わった。1981年までに廃車されたが、モハ71の1両が北熊本車両工場内の入替用として残り、現在も動態保存されてイベントなどで活用されている。

熊本電鉄によると、2009年に同社の創立100周年を記念して車両の改修工事を実施。改修から15年が経過し、屋外での留置なども重なって外板などの劣化が激しい状態という。同社は「竣工から96年が経過しているにもかかわらず動態保存の状態で非常に貴重な車両であるため、今後も皆様に親しんでいただく機会を設けたく、今回のプロジェクトを立ち上げた」としている。

CFによるモハ71形修繕プロジェクトのイメージビジュアル。2009年の改修から15年が過ぎて外板の劣化が激しい。【画像:熊本電鉄】

買収国電は戦前の国鉄が私鉄電化路線を国有化した際、同時に引き継いだ電車のこと。国鉄の電車とは仕様が異なるなど使い勝手が悪く、1960年代までにほぼ消滅した。

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