買収国電の本でウェブサイト説明文「無断使用」鉄道模型誌の発行元が謝罪



鉄道模型誌『RM MODELS』などを発行している出版社「カルチュア・エンタテインメント」は1月19日、同社が発行した本に他者が運営するウェブサイトからの「無断引用」があったと発表した。同社と本の著者が謝罪した。

カルチュア・エンタテインメントによると、「無断引用」があったのは昨年2023年10月10日発行の『写真とイラストで綴る買収国電』。買収国電に関する記事を公開していたウェブサイトの管理者からの指摘を受けて確認したところ、16~23ページ「買収国電の歴史」と128ページ「阪和電気鉄道(南海電気鉄道山手線)」の概要説明文でウェブサイトからの「無断引用」を確認した。ほかにも一部の解説文に『Wikipedia』などからの「無断引用」を確認したという。

『写真とイラストで綴る買収国電』の著者は宮下洋一氏。地方私鉄を題材にした鉄道模型ジオラマの製作で知られ、『RM MODELS』やニュースサイト『乗りものニュース』(メディア・ヴァーグ)の記事も制作している。

カルチュア・エンタテインメントと宮下氏は「各人の研究成果に対しての権利を阻害する事態を招きましたことを、当該関係者の皆様に対して、出版元、著者ともに深くお詫び申し上げます」と謝罪。宮下氏の『RM MODELS』での連載や今後の別冊などは休止するとしている。

著作権法では「公表された著作物は、引用して利用することができる」(第32条)などと定めており、引用自体は著作者の許可を受けずに行っても問題ない。「無断引用」という表現は、本来問題ないはずの引用が不法行為であるかのような誤解を招きやすく、現在は権利を侵害したという意味では「無断使用」「無断転載」などと表現することが多い。

他者の著作物を引用して利用する場合、出所の明示(第48条)が義務づけられているほか、これまでの判例から自己の著作物と引用部分を明瞭に区別できることや、自己の著作物が主で引用部分が従になっていること、引用の範囲がその目的上正当な範囲であることなどが求められる。これらの要件が満たされない場合は引用ではなく無断使用や無断転載と判断される可能性が高く、民事上は差止請求や損害賠償請求の対象に。刑事上も懲役刑や罰金刑の対象になる。

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