野岩鉄道6050系が観光列車「やがぴぃカー」に 畳席や運転台席、CFで改修費調達



会津鬼怒川線(栃木県・福島県)を運営する第三セクターの野岩鉄道は1月11日、6050系電車の2両編成1本(61103+62103編成)の改修が完了したと発表した。新たに「やがぴぃカー」という愛称を付け、1月26日から観光列車として営業運転を開始する。

野岩鉄道6050系の61103+62103編成。【画像:nkm03/写真AC】

61103号車は「畳席」(20人)と「掘りごたつ席」(4席)を設置し、掘りごたつ席には車窓の風景が映り込む鏡面仕上げのテーブルも設置した。ドア付近には従来の「椅子席」(8人)を残している。

61103号車の畳席(左)、椅子席(中央)、掘りごたつ席(右)。【画像:野岩鉄道】

また、6050系の廃車になった車両(61101+62101編成)の運転台を移植した「運転台席」を車内2カ所に設置。運転台席にはモニターを設置し、実際に6050系の乗務員室から撮影した前面展望画像が映し出される。

61103号車の運転台席。【画像:野岩鉄道】

62103号車は車内トイレを洋式にリニューアル。連結部寄りの一部を多目的スペースとし、車椅子・ベビーカー利用客や自転車を持込客に対応した。座席定員は66人。

「やがぴぃカー」は1月26日から臨時列車「やがぴぃ1・2号」として運行される。畳席などが設けられた61101号車は定員制で、乗車には乗車券類のほか座席整理券(500円)が必要。掘りごたつ席と運転台席は乗車券類と座席整理券に加え、それぞれの利用料金(各500円)も必要だ。運転台席は利用区間を3区間に分ける。予約は電子メールで受け付ける。62103号車は乗車券類だけで利用できる。

1・2月の運転日は1月26・28日と2月2・4日の予定。運行区間と時刻は「やがぴぃ1号」が新藤原10時51分→会津高原尾瀬口11時28分、「やがぴぃ2号」が会津高原尾瀬口12時52分→新藤原13時29分になる。2月5日以降は検査のため運行しない。野岩鉄道はその後の運行について、ウェブサイトやSNSなどで案内するとしている。

会津鬼怒川線は新藤原~会津高原尾瀬口30.7kmの鉄道路線。東武鬼怒川線と会津鉄道会津線に接続して直通運転を行っている。沿線の過疎化などで利用者は減少傾向で、近年の輸送密度は600人台で推移。コロナ禍が本格化した2020年度は200人台に落ち込み、厳しい経営が続いている。

車両の6050系は東武鉄道の6050系と同型で、1986年の開業前後に6両(2両編成3本)が新造された。このうち61101+62101編成が老朽化のため2020年に廃車されている。野岩鉄道は同線、残存する6050系を観光列車として改修することを決め、同年8月から10月にかけて改修費用を調達するためのクラウドファンディングを実施。当初の目標金額は1500万円だったが、最終的な支援総額は目標を大幅に上回る2183万9000円に達した。

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