JR西日本「2024年3月16日ダイヤ改正」伯備特急「やくも」新型導入は4月から



JR西日本は12月15日、来年2024年3月16日に実施するダイヤ改正の概要を発表した。北陸新幹線・金沢~敦賀の延伸開業に対応した輸送体系に刷新。伯備線の特急「やくも」用に製造された新型車両の273系電車は4月から順次投入する。

おもなダイヤ改正の概要は次の通り。

北陸新幹線

北陸新幹線・金沢~敦賀がダイヤ改正にあわせて延伸開業する。東京~敦賀を直通する列車は合計14往復で毎時1本程度の運行。内訳は「かがやき」9往復と「はくたか」5往復になる。

「かがやき」「はくたか」の延伸区間の途中停車駅は、「かがやき」5往復が福井駅のみ停車。ほかに小松・福井・越前たけふの3駅に停車する2往復と加賀温泉・芦原温泉・福井の3駅に停車する2往復が設定される。「はくたか」は全列車が金沢~敦賀の各駅に停車する。

最短所要時間は東京~福井が36分短縮の2時間51分、東京~敦賀が50分短縮の3時間8分、長野~福井は34分短縮の1時間31分になる。

富山~金沢の「つるぎ」も運行区間を富山・金沢~敦賀に拡大。敦賀駅で在来線特急との連絡を図る列車を25往復設定し、このうち18往復を富山~敦賀、残り7往復を金沢~敦賀で運行する。このほか、早朝・深夜にも「つるぎ」を敦賀~富山で2本、敦賀~金沢で1本、金沢~富山で1本、それぞれ運行する。

敦賀駅で在来線特急との連絡を図る「つるぎ」のうち、富山発着の5往復と金沢発着の4往復は途中、福井駅のみ停車。それ以外は各駅に停車する。

敦賀まで延伸される北陸新幹線。【撮影:草町義和】

在来線特急(近畿・中京方面~北陸エリア)

関西~北陸を結ぶ特急「サンダーバード」は運行区間を大阪~敦賀に短縮し、25往復を運行。敦賀駅で北陸新幹線「つるぎ」に連絡する。中京~北陸を結ぶ特急「しらさぎ」も運行区間を名古屋・米原~敦賀に短縮して15往復を運行。このうち7往復が米原~敦賀、残り8往復が名古屋~敦賀の運行になり、敦賀駅で「つるぎ」に連絡する。

大阪~北陸方面(敦賀乗り継ぎ)の所要時間(最速)は、大阪~福井が3分短縮の1時間44分。大阪~金沢は22分短縮の2時間9分、大阪~富山は29分短縮の2時間35分になる。東海道新幹線~米原~「しらさぎ」~敦賀~北陸新幹線の乗り継ぎの場合、名古屋~福井が3分短縮の1時間33分。名古屋~金沢は16分短縮の2時間9分、名古屋~富山は23分短縮の2時間35分になる。

IRいしかわ鉄道線~七尾線の特急「能登かがり火」は金沢~七尾・和倉温泉で合計5往復運行。金沢駅で北陸新幹線に連絡する。敦賀・福井~金沢の特急「おはようエクスプレス」「おやすみエクスプレス」「ダイナスター」は廃止される。

北陸方面の在来線特急は運行区間が短縮または廃止される。写真は特急「しらさぎ」【画像:ND750KS1995/写真AC】

山陽新幹線

最終列車の繰り下げで現地滞在時間を拡大する。東京→岡山の最終列車「のぞみ93号」は東京駅の発車時刻を現在の20時33分から6分繰り下げて20時39分発に。これに伴い西明石駅通過に変更する。一方、東京→姫路の「のぞみ95号」の運行時刻を見直すとともに西明石駅に新たに停車。これにより西明石駅への新幹線最終列車の東京駅の発車時刻を21分繰り下げる。

博多18時59分発の上り東京行き最終「のぞみ64号」は1分繰り下げて博多19時00分発に変更。博多→東京の最終列車の発車時刻が初めて19時台になる。

また、新横浜始発→博多行きの臨時「のぞみ97号」を設定。新大阪駅を発車する速達列車が1時間あたり最大9本運転可能な時間帯を8時台から19時台に拡大する。この列車が運転される場合、定期列車に比べ首都圏から山陽エリアに最大29分早く到着することができるようになる。

新型車両のN700Sで運行する列車も拡大。東海道・山陽新幹線を直通する「のぞみ」のうち、時刻表などで事前に案内している「N700Sで毎日運転する列車」の対象に「のぞみ1・40号」を加え、合計27本に拡大する。対象列車のうち23本はビジネスブースを設置した車両で運行する。

東海道・山陽新幹線の新型車両N700S。【画像:Today is sunny./写真AC】

在来線特急「やくも」

「やくも」向けに開発した新型車両の273系電車はダイヤ改正から21日後の4月6日から順次運用を開始する。乗り心地を改善するほか、グループ向けの座席「セミコンパートメント」を設置。すべての座席にコンセントを備え、車内Wi-Fiも提供するなどサービスを向上する。

伯備線の特急「やくも」に導入される新型車両の273系。【撮影:草町義和】

また、岡山駅での山陽新幹線との連絡時間を見直し、近畿圏~米子・出雲エリアの所要時間は最大14分短縮する。最速所要時間は東京~米子が5分短縮の5時間23分。新大阪~米子も5分短縮の2時間59分になる。

これまで週末に運行していた臨時列車は毎日運行に変更。岡山~出雲市は原則として1日15往復に統一される。ただし「やくも12・13・16・17・28・29号」は利用状況によって運行を取りやめる場合がある。

在来線特急「スーパーはくと」

大阪~鳥取で1往復増発するほか、土曜・休日を中心に運行していた臨時列車を毎日運行に変更する。これにより大阪~鳥取の運行本数は1日8往復に統一される。姫路駅での山陽新幹線との連絡も改善し、首都圏~鳥取エリアの所要時間を最大27分短縮する。

一方、京都発着の列車は5往復10本を対象に大阪発着に変更。これにより京都発着の「スーパーはくと」は朝の京都発2本と夜の京都着2本に縮小される。

大阪~鳥取で増発される一方、京都発着の列車が大幅に減る「スーパーはくと」。【画像:E2はやて素材配布ch/写真AC】

在来線特急・有料座席サービス(関西圏)

奈良~新大阪では通勤特急「らくラクやまと」を新設。途中、天王寺駅や大阪駅(うめきた)を経由する。運行時刻は朝が奈良7時16分→新大阪8時19分、夜が新大阪19時43分→奈良20時46分。

奈良~大阪方面の有料座席サービス「快速 うれシート」も設定本数を拡大。平日朝は設定本数は「らくラクやまと」を含め奈良発6~7時台に現在の倍の8本になる。土曜・休日も「うれシート」を新規設定し、奈良発の7~9時台に5本、16~16時台に2本が設定される。

普通列車(関西圏)

嵯峨野線はインバウンドの回復で混雑が激しくなっていることから、京都~嵯峨嵐山で昼間の列車を増発。平日の場合、京都発9~14時台と嵯峨嵐山発10~15時台で現在は1時間あたり4本のところ1本増やして5本にする。また、一部の列車が4両編成から6両編成・8両編成に増強する。

JRゆめ咲線では沿線のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)で新エリアが開業予定で多くの利用が見込まれることから、通勤客と来園客が集中する7時30分~8時30分の1時間に運行する列車を8本から10本に増発する。

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