新幹線・新八代~宮崎の整備「有力な選択肢の一つ」宮崎県が調査へ 延岡市は反発



東九州新幹線の整備に向け大分県が複数ルート案の調査・検討を進めているなか、隣接する宮崎県も新幹線の調査に動き出そうとしている。同県は日豊本線に並行する従来の東九州新幹線ルートに加え、九州新幹線(鹿児島ルート)の新八代駅から分岐して宮崎方面に向かうルートの調査も行う方針だ。

九州新幹線の列車。【画像:マンハッタン/写真AC】

11月29日に開かれた宮崎県議会の一般質問で、坂口博美議員(自民党)がミニ新幹線方式での整備や新八代~宮崎を結ぶルートでの整備について質問。河野俊嗣知事はミニ新幹線方式について「急カーブや踏切のある在来線を運行する関係上、線路の改良や橋梁の補強、トンネルの改修など大規模な線路の改良工事が必要。予算の大幅な削減を期待できるわけでない」などと答弁し、消極的な考えを示した。

その一方、河野知事は新八代~宮崎のルートについて「今後の実現可能性を踏まえると、有力な選択肢の一つ。新八代~宮崎ルートも含め調査・検討に取り組んでいきたい」と答弁した。

これに対して新八代~宮崎ルートから外れる延岡市が反発。12月7日に開かれた市議会の一般質問で、読谷山洋司市長は「どうして有力な選択肢と言えるのか、私には理解できない。全幹法に基づく基本計画路線は宮崎県内には日豊本線ルート(東九州新幹線)しかない。この具体化、実現に向け検討を進めることが、まず第一に県が取り組むことべきことであり、私どもが取り組むべきこと」と答弁し、河野知事の答弁に戸惑いを見せた。

一方で河野知事は12月27日の定例記者会見でも、新年度予算に調査費を計上する考えを示唆。東九州新幹線について改めて事業費などの試算を行うとしつつ、新八代~宮崎のルートについて「どのようなルートが想定されるのか、需要見込みとか事業費の試算など、そういったことも必要になってくるのではないかと思う」と話し、東九州新幹線と新八代~宮崎ルートの調査を同時に行う考えを示した。

東九州新幹線(緑点線)と新たに浮上した新八代~宮崎のルート(赤点線)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

東九州新幹線は福岡市~大分市付近~宮崎市付近~鹿児島市を結ぶ新幹線の計画。1973年に基本計画が決定したが経済情勢の変化や国鉄の経営悪化などで具体化しておらず、詳細なルートも決まっていない。

従来は日豊本線に並行して整備し、福岡(博多駅)から北九州市付近まで山陽新幹線と線路を共用するルートが想定されていた。大分県は現在、日豊本線に並行するルートに加え、九州新幹線の新鳥栖駅から分岐し、久大本線に並行して大分に向かうルートも検討している。

新八代~宮崎のルートで新幹線を整備する場合、東九州新幹線の基本計画の区間からは外れるため、基本計画の決定から新たに手続きを行う必要があるとみられる。また、運休区間の存廃問題が浮上している肥薩線や、利用者の減少が続く吉都線(2022年度の輸送密度は394人)などに並行するルートになるとみられ、これらの路線の新幹線整備後の位置付けも課題になりそうだ。

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