東武野田線の新型車両「新タイプ」推進・バッテリーシステム 三菱電機と東芝が開発



東武鉄道は3月10日、野田線(東武アーバンパークライン)に導入する新型車両で新しいタイプの車両推進システムや車上バッテリーシステムを採用すると発表した。これにより省エネ化を図り、温室効果ガスの削減を目指す。

東武野田線の列車。【撮影:草町義和】

車両推進システムには三菱電機が開発した「SynTRACS」を採用。同期リラクタンスモーター「SynRM」とフルSiC素子を適用した駆動用インバーターで構成される。「SynRM」は従来車両の誘導モーターに比べ発熱損失が少なく高効率。モーターの出力を増加して回生ブレーキ領域を拡大し、消費電力量を低減する。

永久磁石同期モーターと異なりレアアースの永久磁石も不要。回路もシンプルなものとして保守作業の省力化を実現するという。また、駆動用インバーターにフルSiC素子を採用することで、電流容量の増加による「SynRM」の高出力化と電力損失の大幅な低減を実現するという。

同期リラクタンスモーターとモーター内部の回転子のイメージ。【画像:東武鉄道】

車上バッテリーシステムは東芝インフラシステムズが開発。リチウムイオン二次電池SCiBと補助電源装置のSIV装置を組み合わせたもので、これにより列車の回生ブレーキで得られる電力を架線に戻さず、自車のSIV装置を介して少ない損失で二次電池に充電する。蓄えた電力は列車の制御や空調などで使用して省エネ化を図るという。SIV装置の故障時には二次電池から補助電力を供給し、冗長性を確保する。

車上バッテリーシステムのイメージ。【画像:東武鉄道】

東武鉄道は2022年4月、東武野田線に新型車両を2024年度に導入すると発表。現在の車両は6両編成だが、新型車両は1両減って5両編成になる。車体のデザインや詳細な仕様はまだ発表されていない。

温室効果ガスの削減策としては新型車両の導入のほか、電力回生インバーター装置の設置も計画。回生ブレーキの使用時に発生する直流電力の余剰分を交流電力に変換し、駅構内の照明や空調などに電力を供給する。また、運転履歴ビッグデータの解析によって抽出した「定時性と省エネ性を両立した目標走行パターン」に沿った省エネ運転を試行する。

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