静岡県が設置した「大井川鐵道本線沿線における公共交通のあり方検討会」の第2回会合が、11月29日に開かれた。水害で運休中の大井川鉄道大井川本線・川根温泉笹間渡~千頭について、復旧には20億円以上かかることが示された。
静岡県の交通基盤部によると、災害復旧にかかる費用は4億8000万円。ほかに老朽化した施設の整備費用として17億3000万円かかる。合計額は22億1000万円で、大井川鉄道が従来示していた概算額(約19億円)より3億円ほど増加した。
大井川鉄道は大井川本線・金谷~千頭39.5kmと千頭~井川25.5kmを運営。昨年2022年9月の台風15号で土砂崩れなどの大きな被害が発生した。井川線は同年10月までに再開。大井川本線も島田市内の金谷~川根温泉笹間渡20.0kmが今年2023年10月までに再開した。
残る川根本町寄りの川根温泉笹間渡~千頭19.5kmは大規模な土砂崩れも発生しており、全線復旧のめどはたっていない。大井川鉄道は1月、自力復旧が困難として静岡県に支援を要請。3月に静岡県や沿線自治体などで構成される検討会が設置された。
2回目の会合で精査した復旧費の額が示されたことから、今後は各者が負担できるかどうか、負担する場合は各者の負担割合をどうするかが焦点になる。静岡県交通基盤部によると、国の補助制度を活用する場合は13億7000万円を公的支援として国や静岡県、沿線自治体が負担することになるが、残り8億4000万円は大井川鉄道が負担する必要があるという。
《関連記事》
・大井川鉄道の普通客車列車「分離」走行中に連結器外れる 重大インシデント認定
・大井川鉄道「運休区間のバス」に乗ってみた 水害から1年「復旧」「廃止」検討のいま