仙台地下鉄南北線「富谷延伸」単線整備で黒字見込む 富谷市調査「仙台市民にも利点」



宮城県富谷市は3月2日、仙台市営地下鉄南北線の富谷市内への延伸構想について、本年度2021年度の調査結果の概要を明らかにした。中間駅の設置や単線での整備により整備費を抑え、黒字化を図れるとした。

富谷市による仙台市営地下鉄南北線延伸構想で想定されるルート(赤)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

調査対象の延伸区間は仙台市泉区の泉中央駅から富谷市の明石台までの約3.4km。途中に中間駅を設けることを想定した。2019年度の調査では複線で整備費を400億~600億円としたが、今回の調査では単線で整備して中間駅で列車の行き違いを行う場合、整備費が308億~405億円に抑えられるとした。

利用者数は、現在の南北線と同じ運賃体系を適用するケース(通算運賃)と、南北線の運賃体系に初乗り分の210円を加えたケース(加算運賃)で調査。通算運賃の場合は1万4900人、加算運賃では1万4000人と予測した。

従来の調査で示されていた採算ラインの利用者数は、整備費が400億~600億円の場合で1万7000人だった。今回の調査では自動車からの転換のほかバスとの結節なども加味し、加算運賃を適用した場合の1万4000人で開業後30年での黒字化が見込めるとした。

泉中央~明石台間のルートは8割近くが仙台市内になるとみられ、同市との連携が不可欠だ。富谷市の若生裕俊市長は「(仙台市と富谷市で構成される)広域行政協議会で継続的に本市の交通施策の取組を説明しながら、実現に向け理解と協力を求めているところ」とし、「国や宮城県、仙台市も参画している富谷市総合交通検討委員会などの場を活用しながら事業化に向けて取組の熟度を高めていきたい」と話した。

富谷市によると、今回の調査では中間駅の想定位置を仙台市泉区の明石南地区とし、1万4000人のうち2100人は中間駅を利用すると予測。仙台市民である明石南地区の住民にとっても泉中央駅への所要時間が短縮され、メリットがあるのではないかとしている。また、泉中央~明石南間の将監団地内にも中間駅を設ければ、採算性は現在の想定よりも向上するのではないかという。

富谷市は来年度2022年度も調査を行う計画。建設計画や事業化までのスケジュールの検討を行うとともに、PFI方式による事業の可能性についても引き続き調査を行う考えだ。

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