JR東海「顔認証改札」実証実験 東海道新幹線の2駅、画像やデータの取り扱いは?



JR東海は9月30日、「顔認証技術」による改札機通過の実証実験を行うと発表した。東海道新幹線の駅の改札口で、自社の社員を対象に実施。新たなサービスの実現の可能性を検証する。

実証実験の期間は11月12日から来年2022年1月19日まで。東海道新幹線の品川駅北口3号と名古屋駅の新幹線南口3号の自動改札機(IC専用改札機)で実施する。実験の対象者はJR東海の一部社員で、改札機を通過する際、ICカードによる利用判定と顔認証を行う。今回の実験では顔認証のみの改札機通過は行わない。

顔認証は実験対象の改札機付近に設置したカメラを使用。撮影した顔画像から算出した顔の特徴量と、事前に登録した実験対象者の特徴量が一致するか照合する。JR東海はこの実証実験により、現在は割引証の提出や証明書を提示が必要な利用者限定商品のネット販売やチケットレス化、顔認証のみによる改札機通過の実現可能性などを検証し、必要なデータの取得や課題の抽出を行うとしている。

実証実験における顔認証の流れ。【画像:JR東海】

この実証実験では通常使用している改札機を使うため、実験対象者のほか一般の利用者もカメラで撮影される。撮影されるのを避けたい場合、JR東海はほかの改札機や別の改札口を使うよう呼びかけている。

JR東海はカメラで取得したデータについて、顔画像や特徴量などは即時削除。改札機を通過する動画はJR東海社員のものを保管し、それ以外の動画は取得後24時間以内に削除する。JR東海社員の動画に映り込んだ客の画像も、原則として3週間以内に個人を特定できないよう加工する。保管した動画は実証実験でのみ使用し、2022年3月31日までに削除するとしている。

人の顔を認識できるカメラの運用をめぐっては9月21日、JR東日本が顔認識機能付きの防犯カメラを使い、同社が被害に遭った重大犯罪で服役した出所者らを検知対象とする方針だったことが読売新聞の報道で発覚。JR東日本は同紙の報道後、すぐに方針を撤回した。

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