掘削中に巨大な岩にぶつかって工事が中断していた北海道新幹線の羊蹄トンネル比羅夫工区(5579m)について、鉄道・運輸機構は11月27日、2年ぶりに工事を再開した。
比羅夫工区ではシールドマシンを使用したSENS(センス)工法でトンネルの掘削工事が行われている。2021年7月、シールドマシンが停止。調査の結果、前方に10mを超える規模の巨大な岩塊群があり、シールドマシンが進めない状態になったことが判明した。
このため、岩塊群を迂回して反対側に回り込む作業用の小さいトンネルを建設。反対側から岩塊群を除去する工事を行い、今年2023年3月に除去が完了した。その後はビットの交換やシールドマシンの整備、岩塊群を除去した場所の埋め戻しが行われ、11月27日に掘削工事を再開した。
羊蹄トンネルは北海道新幹線の長万部~倶知安に設けられる全長9750mのトンネル。羊蹄山の西側を通り抜けるルートになる。工区は長万部寄りの有島工区(4166m)と倶知安寄りの比羅夫工区に分かれている。2023年11月1日時点の掘削率は有島工区が44%で、比羅夫工区は61%。
北海道新幹線は新函館北斗~札幌211.9kmが2031年春の延伸開業に向け工事中。2023年11月1日時点の進捗率は路盤の契約率で99%。全トンネル(合計約168.9km)の掘削率は70%に達した。しかし工事は大幅に遅れており、2031年春の開業は困難な情勢だ。
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