北海道新幹線の羊蹄トンネル「巨大な岩」小さなトンネルで取り付いて粉砕 3月から



鉄道・運輸機構は2月8日、巨大な岩の出現で一部工区の掘削工事が停止している北海道新幹線・羊蹄トンネル(9750m)について、岩の除去に向けた対策工事を実施すると発表した。

羊蹄トンネルの札幌寄り坑口(比羅夫工区)。ここから3468mの地点でシールドマシンが停止した。【画像:鉄道・運輸機構】

掘削が停止したのは羊蹄トンネルの比羅夫工区で、札幌寄りの坑口から3468m、地下約20mの地点。鉄道・運輸機構によると、シールドマシンを使ったSENS(センス)工法で掘削工事が行われていたが、昨年2021年7月に停止した。同年8月の調査の結果、シールドマシンの前方に10mを超える規模の巨大な岩が出現したことが原因と判明したという。

対策工事では、掘削済みのトンネルから山岳工法による小断面トンネルを本来の掘削ルートから迂回(うかい)するようにして建設して巨大な岩に取り付き、岩を細かく粉砕して除去する。現在は準備工事が行われており、今年2022年3月上旬から岩の除去に向けた工事が始まる予定だ。

対策工事のイメージ。小断面のトンネルを掘って岩に取り付き、岩を細かく砕く。【画像:鉄道・運輸機構】
羊蹄トンネルの縦断面図。【画像:鉄道・運輸機構】

羊蹄トンネルは2030年度末の完成を目指して工事中の北海道新幹線・新函館北斗~札幌間のうち、長万部~倶知安間にあるトンネルの一つ。工区は有島(4181m)と比羅夫(5569m)の二つに分かれている。1月1日時点の掘削延長は有島工区が46mで、比羅夫工区が3404m。

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