土木学会「只見線」「生駒ケーブル」「和田旋回橋」など選定 2021年度選奨土木遺産



ケーブルカーとしては日本最古の生駒ケーブル。【撮影:草町義和】

土木学会は9月28日、2021年度の土木学会選奨土木遺産を発表した。鉄道施設では「只見線鉄道施設群」「生駒鋼索線と生駒山上遊園地飛行塔」「関西本線木津川橋りょう」「和田旋回橋」などが選定された。

只見線は施設群として一括で選定。「福島・新潟両県の地域資源の活用や豪雪地帯を結ぶライフラインとして、その機能美や四季折々の風景を創生する貴重な土木遺産群」とされた。同線は会津若松~小出間135.2kmを結ぶJR東日本のローカル線。2011年の水害で会津川口~只見間27.6kmが運休中だが、来年2022年中には再開の見込みだ。

只見線の只見川第2橋りょう。【croissant./写真AC】

近鉄の生駒鋼索線(生駒ケーブル、奈良県)は日本最初のケーブルカーとして1918年に開業。生駒山を登るケーブルカーで、山頂側には生駒山上遊園地がある。この遊園地にある飛行塔は1929年の開園当初からあり、「現存する日本最古の大型遊具」(近鉄)とされる。「わが国私鉄に見られる観光施策を証示する最古の施設であり、先例のない中で独自に開発したもの」として選定された。

JR西日本が運営する関西本線・大河原~笠置間の木津川橋りょう(京都府笠置町)は「明治時代に架けられた橋梁を、適切な補強や更新により長寿命化を実現した」とされ、構造物の歴史性よりは橋りょうを維持し続けてきたことが評価された。

和田岬支線の和田旋回橋。【画像:kiss x7/写真AC】

和田旋回橋(神戸市)はJR西日本の山陽本線和田岬支線にある兵庫運河の橋りょう。橋桁が回転することで船が通れる構造になっているが、現在は固定され回転しない。「日本初かつ最古の鉄道用可動橋であり、当初の架設地点に供用され続け現在も地元住民により積極的に活用されている貴重な土木遺産」として選定された。

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