三井化学専用鉄道「ラストランイベント」延期の末中止に、水害と新型コロナで



三井化学は8月27日、大牟田工場(福岡県)の専用鉄道で秋に実施する予定だった「ありがとう炭鉱電車プロジェクト ラストランイベント」を中止すると発表した。

三井化学大牟田工場の専用鉄道。【画像:三井化学】

三井化学によると、専用鉄道の車両(5両)が2020年7月豪雨ですべて冠水し、稼働できない状態に。イベント会場の予定地だった宮浦駅周辺も、来場者を安全に案内することが難しい状況になった。これに加えて7月以降、大牟田工場周辺のエリアで新型コロナウイルスの感染拡大がみられるとし、イベント開催の中止を決めたという。

三井化学は現地イベントに代えて8月27日から9月17日にかけ、同社のユーチューブチャンネルで専用鉄道の動画を順次公開する。また、映画監督の瀬木直貴さんによる2本の短編映像を9月28日に公開する予定だ。

三井化学の専用鉄道は1891年、三井三池炭鉱の専用鉄道として供用開始。炭鉱はすでに閉山しているが、専用鉄道は一部が残り、三菱ケミカル福岡事業所(北九州市)から大牟田工場に硝酸を運ぶために使われていた。

しかし三菱ケミカルが硝酸の生産を停止。三井化学は別の事業者から硝酸を入手することになり、大牟田工場までの輸送方法も船とトラックに変わったため、専用鉄道は5月7日をもって運転を終了した。

三井化学は専用鉄道の運転終了を受け、「ありがとう炭鉱電車プロジェクト」と題したラストランイベントを計画。当初は6月に実施する計画だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大を受け延期に。9月末をめどに実施する方向で検討を進めていた。