北総・新京成・東武の新鎌ヶ谷駅「幻の鉄道用地」京成など複合施設を整備へ



千葉県企業局は3月23日、鎌ケ谷市の新鎌ヶ谷駅前に保有している土地の開発について、京成電鉄・東武鉄道・大和ハウス工業・東方地所の共同企業体を事業予定者に決めたと発表した。事業予定者による提案価格は31億円で、土地譲渡代金の予定価格は約13億円。2026年度のオープンを目指す。

北総線・新京成線・野田線が乗り入れる新鎌ヶ谷駅。南側に広がる土地(左)が京成や東武など4社の共同企業体により開発される。【撮影:草町義和】

この土地は新鎌ヶ谷駅の南側にあり、面積は7083.3平方m。都営新宿線の本八幡駅と新鎌ヶ谷駅を結ぶ鉄道新線の建設用地として確保されていたが計画が中止されたため、土地の活用が課題になっていた。

事業予定者の提案概要によると、商業棟や住宅棟などを設けた複合施設を整備する。商業棟は地上6階・地下1階で延床面積が約9000平方m。地上階は飲食店や物販店などの商業施設で、地下には駐車場を整備する。

住宅棟は地上14階の集合住宅。このほか、南北自由通路(幅8m)と東西通路(幅4m)を設け、南北自由通路の南側に「にぎわいの広場」、東西通路西側に「緑の広場」をそれぞれ整備する。

新鎌ヶ谷駅の南側に商業棟や住宅棟などを整備する。【画像:京成電鉄・東武鉄道・大和ハウス工業・東方地所/千葉県】
新鎌ヶ谷駅南側の提案イメージ。【画像:京成電鉄・東武鉄道・大和ハウス工業・東方地所/千葉県】

新鎌ヶ谷駅は1991年から1999年にかけ、現在の北総鉄道北総線と新京成電鉄新京成線、東武鉄道野田線(東武アーバンパークライン)の3路線が乗り入れる駅として開業。2010年には北総線と線路を共用する京成電鉄成田スカイアクセス線も開業した。

このほか、千葉県が県営鉄道の整備を計画。現在の都営新宿線(10号線)・本八幡駅から新鎌ヶ谷駅を経て千葉ニュータウンを横断し、現在の印旛日本医大駅に至る「北千葉線」の地方鉄道免許を1973年に取得した。当時の計画では都営新宿線と北千葉線の相互直通運転が行われるはずだった。

しかしニュータウンの整備が進まなかったことなどもあり、千葉県は1978年に北千葉線の事業を凍結。ニュータウン内の小室~印旛日本医大は北総線に編入される形で1984年から2000年にかけ開業したが、本八幡~新鎌ヶ谷~小室は着工のめどが立たなかった。2000年には与党合意による公共事業の抜本的見直し策の一つとして北千葉線の計画中止が勧告され、これを受けて千葉県は北千葉線の鉄道事業を廃止した。

千葉県と鎌ヶ谷市、市川市は2001年から、北総線との並行区間を除く本八幡~新鎌ヶ谷のみ「東京10号線延伸新線」として第三セクター方式による事業化の検討を開始。しかし事業費が多額で採算性の見通しも立たないことから、2013年度に検討を終了し、幻の鉄道計画と化した。

新鎌ヶ谷駅と周辺の鉄道路線。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

北千葉線・東京10号線延伸新線の建設用地として確保された土地は、いまも千葉ニュータウン内などに空き地のまま残っている。新鎌ヶ谷駅の建設用地は2022年6月、鎌ケ谷市の芝田裕美市長が千葉県の熊谷俊人知事に対し、土地活用の要望書を提出。千葉県は同年11月に開発事業予定者の募集を実施していた。

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