東京メトロ南北線9000系「8両編成化」新造増結車を公開 既存車両も大規模改修



東京メトロは12月13日、南北線で運用している9000系電車を8両編成化した編成を綾瀬車両基地(東京都足立区)で報道関係者に公開した。12月16日から営業運行を開始する。

8両編成に増強された東京メトロ9000系の第09編成。【撮影:鉄道プレスネット】

公開されたのは9000系の第09編成。従来は6両だったが、モーターなしの2両(9409号と9509号)を新造し、赤羽岩淵寄りから3両目(9309号)と4両目(9609号)のあいだに増結して8両編成にした。これにより定員は従来の882人から1200人に増加し、東京メトロは混雑の緩和を見込む。このほか、既存の車両も最新型の車両と同レベルに刷新する大規模改修が行われた。

新造増結車の9409号(赤羽岩淵寄りから4両目)。千代田線の16000系をベースに開発された。【撮影:鉄道プレスネット】
新造増結車の9509号(赤羽岩淵寄りから5両目)。【撮影:鉄道プレスネット】
既存車(左)と新造増結車(右)の連結部。【撮影:鉄道プレスネット】

今回の大規模改修・8両編成化では脱線検知装置を搭載。列車が脱線した場合はただちに自動停止させることができるようにした。車内には防犯カメラを設置したほか、編成中のすべての車両にフリースペースを設置。車椅子の利用者だけでなくベビーカーや大きな荷物を持っている客にも対応した。

ドア上の案内表示装置の脇に防犯カメラが設置された。【撮影:鉄道プレスネット】
優先席(左)とフリースペース(右)は既存車両も含め編成中のすべての車両に設けられた。【撮影:鉄道プレスネット】
優先席のみの区画。【撮影:鉄道プレスネット】

制御装置はシリコンカーバイト(SiC)素子のVVVFインバーター制御方式に更新。モーターも全閉型高効率誘導電動機を採用することで電力消費量の削減を図る。

静止型インバーターの補助電源装置(SIV)は「並列同期/休止運転方式」を採用。電力消費量が少ない場合は2台のうち1台を自動的に休止し、もう1台で負荷を負担して高効率の領域で運転する。また、低損失化を図った新世代ハイブリッドSiC素子を適用。キャリア周波数を高周波化することで小型・軽量化を図った。最新の車両に搭載された電源装置に比べ床面積ベースで40%削減し、質量ベースでは25%削減したという。

SiC素子を適用したVVVFインバーター制御装置。【撮影:鉄道プレスネット】
9709号のSIV。【撮影:鉄道プレスネット】

新造の増結車は川崎車両製で、千代田線の16000系電車をベースに開発。座席の柄は従来の9000系が赤系統なのに対し新造車は青系統で、袖仕切りは木目とガラスを採用した。東京メトロによると、従来の車両との統一感を持たせつつ、新造であることのアピールを両立させたデザインという。

新造増結車の車内。座席の柄は従来の9000系と異なり青系統だ。【撮影:鉄道プレスネット】
新造増結車の袖仕切りは木目とガラスを採用。【撮影:鉄道プレスネット】
第09編成の既存車両の車内。【撮影:鉄道プレスネット】

第09編成に組み込まれた新造車2両は2021年10月に完成していたが、実際のデビューはその2年後となった。東京メトロによると、大規模改修と8両編成化を同時に実施することを計画して増結用の新造車両が先に完成したが、既存車両の大規模改修を担当した新木場車両基地(新木場CR)での工程が影響し、2年遅れのデビューになったという。

川崎車両の銘板には2年前に製造されたことを示す「令和3年(2021年)10月」の文字が。【撮影:鉄道プレスネット】

南北線は目黒~赤羽岩淵21.3kmを結ぶ東京メトロの地下鉄線。当初から8両編成の運用を想定して建設されたが、1991年に駒込~赤羽岩淵が開業した際は4両編成で運行され、1996年の四ツ谷~駒込の延伸開業に先立ち6両編成の運行が始まった。

2022年4月から8両編成の運行が始まり、東急電鉄の8両編成が南北線に乗り入れるようになった。相鉄・東急新横浜線が開業した今年2023年3月からは相鉄の8両編成も乗り入れるようになったが、東京メトロの9000系は6両編成のままだった。

東京メトロ南北線にも乗り入れている8両編成の相鉄21000系。【撮影:草町義和】
6両編成の9000系。写真の第19編成も大規模改修・8両編成化の対象だ。【撮影:草町義和】

9000系は南北線の開業時から導入されており、1990年から2009年にかけ改良を重ねながら138両が製造された。このうち第1次車は2016年から2018年にかけ大規模改修が実施されている。東京メトロは第09編成を含む第2~4次車の編成13本(1995~2000年製造の第09~第21編成)について、大規模改修と8両編成化を同時に実施する計画だ。

《関連記事》
東京メトロ南北線「8両編成」4月から 2両増、まず他社車両から
東京メトロ「エレベーター優先レーン」試験 設置から1週間以上、実際の利用状況は