北海道新幹線の札幌延伸「駅舎デザイン」中間4駅12案を公表 自治体が推薦案を選定へ



鉄道・運輸機構は10月20日までに、北海道新幹線・新函館北斗~札幌の中間に設けられる駅の駅舎デザイン素案として合計12案を公表した。中間駅が設けられる自治体は今後、素案のなかから推薦案を一つ選定。駅舎の設計に反映させる。

将来は札幌まで延伸される北海道新幹線。【画像:写真AC】

北海道新幹線は新函館北斗~札幌の区間が現在工事中。中間には新八雲(仮称)・長万部・倶知安・新小樽(仮称)の4駅が設けられる計画だ。鉄道・運輸機構は八雲・長万部・倶知安・小樽の4市町から要望されたデザインコンセプトに基づき、各駅ごとに3案を作成して提示した。

新八雲駅(仮称)

JR北海道の函館本線・八雲駅から西へ約3.4kmの牧場地帯に設けられる新幹線単独駅。長さ263mの相対式ホーム2面2線が設けられる。

八雲町が要望したデザインコンセプトは「牧場の中にある駅 ~二つの海をもつ八雲の大地にたつ、牧歌的風景に調和したシンプルな駅~」。鉄道・運輸機構はA案「牧歌的原風景を未来へと継承する新たな調和の駅」とB案「雄大な大地と木立の美しさを感じる駅」、C案「八雲の悠久な営み、情景を映し出す駅」を提示した。

新八雲駅のA案「牧歌的原風景を未来へと継承する新たな調和の駅」。【画像:鉄道・運輸機構】
新八雲駅のB案「雄大な大地と木立の美しさを感じる駅」。【画像:鉄道・運輸機構】
新八雲駅のC案「八雲の悠久な営み、情景を映し出す駅」。【画像:鉄道・運輸機構】

長万部駅

函館本線・室蘭本線の長万部駅。写真右側に北海道新幹線の駅が設けられる。【撮影:草町義和】

JR函館本線・室蘭本線の長万部駅に併設。長さ263mの島式ホーム2面4線で整備される。

長万部町が要望したデザインコンセプトは「湯けむり香る噴火湾、人と時代の交差点」。鉄道・運輸機構はこれに基づき、A案「人と時代が交差する 次世代に繋がる駅」とB案「湯けむり香る 柔らかな揺らめきの駅」、C案「大自然感じる 北の煌めきの駅」を作成した。

長万部駅のA案「人と時代が交差する 次世代に繋がる駅」。【画像:鉄道・運輸機構】
長万部駅のB案「湯けむり香る 柔らかな揺らめきの駅」。【画像:鉄道・運輸機構】
長万部駅のC案「大自然感じる 北の煌めきの駅」。【画像:鉄道・運輸機構】

倶知安駅

北海道新幹線の工事が本格化している倶知安駅。【撮影:草町義和】

JR函館本線の倶知安駅に併設。長さ263mの相対式ホーム2面2線が設けられる。ただし倶知安駅を含む函館本線・長万部~小樽は沿線自治体が鉄道廃止・バス転換で合意しており、北海道新幹線の札幌延伸時には新幹線の単独駅になる。

倶知安町が提示したデザインコンセプトは「羊蹄の四季の恵み~ふるさとと世界が出会う駅~」。鉄道・運輸機構はA案「倶知安の四季とつながる舞台の駅」とB案「羊蹄の風景が彩る壮麗な佇まいの駅」、C案「ふるさとの雄大な山々に呼応する稜線の駅」を作成、提示した。

倶知安駅のA案「倶知安の四季とつながる舞台の駅」。【画像:鉄道・運輸機構】
倶知安駅のB案「羊蹄の風景が彩る壮麗な佇まいの駅」。【画像:鉄道・運輸機構】
倶知安駅のC案「ふるさとの雄大な山々に呼応する稜線の駅」。【画像:鉄道・運輸機構】

新小樽駅(仮称)

JR函館本線の南小樽駅から南西へ約3.2kmの地点に設けられる新幹線単独駅。長さ263mの相対式ホーム2面2線で整備される。

小樽市が要望したデザインコンセプトは「浪漫が薫る 温もりと心地よさを感じる駅~まちの記憶を未来へ~」で、鉄道・運輸機構はA案「歴史の継承~小樽の歴史と懐かしさを後世に受け継ぐ品格のある駅~」とB案「新旧の融合~小樽のまちの記憶を継承し、未来へ繋ぐ端整なたたずまいの駅~」、C案「自然と温もり~自然に溶け込み、小樽のまちに明かりを灯す洗練された温もりの駅~」を提示した。

新小樽駅のA案「歴史の継承~小樽の歴史と懐かしさを後世に受け継ぐ品格のある駅~」。【画像:鉄道・運輸機構】
新小樽駅のB案「新旧の融合~小樽のまちの記憶を継承し、未来へ繋ぐ端整なたたずまいの駅~」。【画像:鉄道・運輸機構】
新小樽駅のC案「自然と温もり~自然に溶け込み、小樽のまちに明かりを灯す洗練された温もりの駅~」。【画像:鉄道・運輸機構】

デザイン素案の提示を受けた4市町は来年度2024年度の4~6月ごろに3案のなかから1案を推薦案として選定し、鉄道・運輸機構に回答する予定。2024年度に行われる駅舎の詳細設計に反映させる。

北海道新幹線・新函館北斗~札幌のトンネルは今年2023年10月1日時点で掘削率が7割近い69%に到達。トンネル40工区中12工区で本坑の掘削が完了している。トンネル外の区間(明かり区間)でも9工区で高架橋の基礎工事などが行われている。

開業は2030年度末(2031年春)の予定だが、羊蹄トンネルの比羅夫工区で巨大な岩の塊が見つかり撤去作業に時間を取られるなど工事が遅れており、建設資材の高騰や人手不足も相まって開業は遅れる見込みだ。

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