芸備線の山間部「廃止」も視野に法定協議会で議論へ JR西日本が初の要請



JR西日本は10月3日、芸備線の一部区間について、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」(地域公共交通活性化再生法)に基づく法定協議会(再構築協議会)の設置を国土交通大臣に要請した。同法に基づく再構築協議会の設置要請はこれが初めて。鉄道の廃止も視野に入れた議論が行われる。

再構築協議会で鉄道の存廃も視野に議論される芸備線。【画像:ぴーうさ/写真AC】

要請の対象区間は芸備線・備中神代~広島159.1kmのうち、岡山県と広島県にまたがる山間部の備中神代~備後庄原68.5km。1日の運行本数は普通列車が上下各3~6本で特急列車や貨物列車は運行されていない。

沿線の岡山県新見市と広島県庄原市は1990年の人口が合計9万3000人だったが、2015年は合計6万8000人で3割近く減少。備中神代~備後庄原の平均通過人員(輸送密度)は1990年度が387人だったのに対し、コロナ禍が本格化する前の2019年度は48人で9割近く減少した。区間別では2019年度で備中神代~東城が81人、東城~備後落合が11人、備後落合~備後庄原が62人。

JR西日本によると、芸備線は沿線の人口減少や少子高齢化に加え、道路整備や道路を中心としたまちづくりの進展などで利用者が大幅に減少。とくに備中神代~備後庄原は将来の地域のまちづくり計画と移動ニーズに適した持続可能な交通体系の実現に向け、沿線の自治体や住民と議論することが必要とし、再構築協議会の設置を要請したという。

芸備線・備中神代~備後庄原の位置。【画像:JR西日本】
備中神代~備後庄原の輸送密度と沿線人口の推移。【画像:JR西日本】

地域公共交通活性化再生法は10月1日付けで改正。国交相が鉄道事業者や沿線自治体からの要請に基づき、再構築協議会を組織する制度が創設された。この協議会では関係する鉄道事業者や沿線自治体が、鉄道の存廃やバス転換の可否も含め、公共交通の再構築を議論する。

協議がまとまったときは「再構築方針」を作成。この方針に基づき鉄道を維持するための事業や、鉄道を廃止してバスやバス高速輸送システム(BRT)に転換する事業を実施する。国は協議がまとまるよう積極的に関与するほか、再構築方針に基づき実施する事業に対し補助金を公布するなどして支援する。

JR西日本と沿線自治体は2021年8月、芸備線の利用促進に関する検討会議を設置し、これまで同線の活性化策について議論してきた。しかし昨年2022年5月、JR西日本は「特定の前提を置かず、地域公共交通の姿を速やかに議論開始したい」と表明。同社が事実上、鉄道の存廃を含む議論を求めたのに対し、沿線自治体は鉄道の活性化以外の議論はしないとの立場をとり、存廃の議論に踏み込めない状態が続いていた。

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