中央線「太宰治の陸橋」撤去に着手 渡り納めイベント開催、階段など現地で保存へ



JR東日本の八王子支社は9月21日、作家の太宰治がよく訪れた場所として知られる中央線の陸橋(東京都三鷹市)の撤去工事に着手すると発表した。三鷹市は今年2023年内にイベントを実施するほか、一部を現地保存する考え。

中央線の三鷹跨線人道橋。【画像:fuku41/写真AC】

撤去されるのは中央線・三鷹~武蔵境の線路上に架かる「三鷹跨線人道橋」。まず陸橋の南側を解体し、続いて北側を解体する。工事完了までおおむね2年程度の見込み。

撤去工事に着手するまでは通行できるが、混雑時は利用できない場合がある。工事が始まると通行できなくなるため、八王子支社は三鷹駅寄りの堀合地下道を利用するよう呼びかけている。

陸橋は1929年、当時の国鉄線を運営していた鉄道省が中野電車庫三鷹派出所(のちの三鷹電車区、現在の三鷹車両センター)の開設にあわせて設置した。太宰治は1939年から1948年に亡くなるまでの9年間、三鷹に在住。武蔵野を一望できる陸橋が好きで、友人を陸橋に案内することもあったという。

太宰治が住んでいたころの三鷹の空中写真(1947年9月撮影)。【画像:米軍/国土地理院、加工:鉄道プレスネット】

JR東日本は2021年6月、陸橋を撤去する考えを示し、三鷹市も撤去に同意していた。八王子支社などによると、建設当時の古い設計基準で建設されていて現在の基準を満たしておらず、安全確保の観点から撤去するという。

三鷹市は八王子支社との協定に基づき、2023年内に「渡り納めイベント」を開催する考え。階段など陸橋の一部を現地で保存し、撤去工事の終了後に整備する予定だ。

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